ちろる

ザ・グランドマザー(原題)のちろるのレビュー・感想・評価

3.5
初期作「アルファベット」は完全トラウマ級ホラーのような作品だが、こちらの作品は、デヴィッド・リンチのカルト映画監督のはじまりを示唆する作品。
白塗りの少年の悪夢、それは夢か現実か?
前衛的かつ、ビジュアルとテーマから寺山修司の世界を彷彿とさせる。
そしてこのヒントでお分かりのとおり万人受けは決してしない。

受精から始まり、男と女から子供が生まれ、家族が作られ、その少年は虐待を受ける。
セリフもないなか毒親に痛めつけられる可愛らしい少年の姿はループして、やがて彼の前にあられるグランドマザー。
少年に精一杯の愛を与えてくれるグランドマザーは、幻なのか、幽霊なのか、それとも実在するのかはよくわからないけれど、穏やかに見えた祖母と少年のひとときの穏やかな時間の崩壊とともに、また胸糞悪い毒親の存在が画面を覆う。
悪夢よ、お願いだから早く終わってくれ。

ポイント、ポイントにリンチの作り出した造形のアニメーションが挿入され、アーチストのデヴィッド・リンチと、映画監督デヴィッド・リンチのコラボレーション作品ともいえる。
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