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マルメロの陽光のmotoietchikaのレビュー・感想・評価

マルメロの陽光(1992年製作の映画)
4.3
スペインの画家(アントニオ・ロペス・ガルシア)が庭のマルメロの木を描こうとするが、うまくいかない。何度も何度も書き直すうち、季節は移ろってゆく……。
仏教絵画に、死体が朽ちゆくさまを9段階にわけて描く九相図というのがあるけど、それのマルメロver.みたいだった。

真実を描き取ることにおいて完璧な瞬間は像を結ばず、植物もまた生きて老いるものであるという事実がただ残る。そしてそれは画家本人と重なって……。

こんなドキュメンタリーある? 劇映画というにもちょっと変わってるが
淀川長治が「ドキュメンタリーで、しかも詩がある」って表現しているところに納得。最後の「夢」のモノローグが大好き
思ってたよりも断然いい映画だった。
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