れれれざうるす

ニューヨーク(原題)のれれれざうるすのレビュー・感想・評価

ニューヨーク(原題)(2009年製作の映画)
4.5
「マイネームイズハーン」同様“9.11事件”の時にNYで暮らしていたイスラム教徒のインド人が題材。本作は社会派ドラマでかなり真面目な作り。今までにない視点から9.11事件を扱っている。100%テロリストが悪いと思ってた考えを覆されました。

ストーリー
学生時代に仲の良く人気者だった友達がテロリストの疑いがあり、FBIから情報を流せと“おとり捜査”するよう命令される。あの事件以降連絡を絶ってたが協力しなければ仲間と見なし逮捕。仕方なく数年ぶりに再開するが、彼は主人公が当時好きだった人と結婚して家庭を築いていた。だが、一緒にいると共に彼のテロリストとしての生活を垣間見てしまい…。

あまりにショッキングすぎてどう受け止めていいかわからないです。「考えさせられる」ではなく、私には「考えることが出来ない」。今まではテロリストの気持ちなんて考えたことなかった。もちろんテロは許されることではない。でも“何故テロリストになったのか”、“テロリストにならざるを得なかったのか”。
テロリストにも家族がいて、幸せな人生があったはず。事件以降、何年も、十何年も、政府や世間に人生を狂わされた人が今も存在する。テロリストを作ったのは世間である。私は事件当時小学生なりたて(?)くらいだったからかそんなこと一生知らずに過ごすとこだった。こんな映画がなんで日本に来ないのか理解出来ない…。(「マイネームイズハーン」より1年前だし同じ題材だからだと思うけど)

もちろんドラマとしても素晴らしいです。学生時代に初めて外国へ来た主人公とその2人を絡めながら同時進行。主人公が第三者目線で恋愛要素が邪魔にならない。悲しいことに2人の行く末を見届ける当て馬的存在。
結末も辛すぎて辛すぎて辛すぎて、エンドロールが切なくて切なくて切なくて…。皆、人を殺す為に生まれてきた訳じゃないのにね。この気持ちをぶつけることが出来ないので、2年間放置してたゴミ屋敷ならぬマイルームを無我夢中で掃除しました。

歌も踊りもないし万人にも本当に観てほしい映画。