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あした晴れるかの3104のレビュー・感想・評価

あした晴れるか(1960年製作の映画)
3.7
前半はドタバタが過ぎるが安部徹登場あたりから通常?の・・言ってみればいつもの日活映画、よくある裕次郎作品らしい話の展開とトーンに戻る。だが演者が魅力的で、なにより映画として面白いのは圧倒的に前半〜中盤。たとえ勢い優先で中身が薄いとしても。

笑ったり叫んだり怒ったり爪を切ったり生脚を見せびらかしたりブレッソンやロバート・フランクやユージン・スミスがどうたらとペラペラまくしたてたり泥酔したり変顔したりアカンベーしたりと、いつもと違う〜似合わぬ黒縁眼鏡姿も素敵な〜いづみ嬢からとにかく目が離せぬ。そして中平作品ではおなじみ、中原早苗はここでもチャーミング。「なによ黒んぼ!」「なによおでこ!」・・しかしなぜ彼女は色黒(メイク)だったのだろう。

他にも見どころ/ツッコミどころは多いが、とにかくいづみ(と早苗)を楽しむ作品。彼女たちの魅力に比して、物語自体はまことに訴求力が低い。いくつかのエピソードや設定もほぼ活かせぬまま映画はグダグダともつれて終わっていく(後半粘れていない様はまるでこのレビューのようだ)。スクリューボールコメディなどと評するには確実に「何か」が欠けている。


「特集上映 芦川いづみ映画祭」にて。
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