じゅんP

こちらピープリー村/Peepli [Live]のじゅんPのレビュー・感想・評価

3.0
《貧しい農民のナッターは、自殺した農民の遺族に補償金が出るという制度を知り、家族のため自殺を宣言する。
しかし噂が広まり1件の取材を受けたことから、ナッターのニュースはバズりまくり、小さな村に取材陣が殺到、政治家も巻き込んだ大論争に。
ナッターの決意の行く末はーー?》

主人公でありながら、どこまでも振り回されるだけのナッター。
あんなに騒ぎになっても、彼がどんな人物なのかは深掘りされず、都合よく加工されたイメージだけが浮き上がる。
当事者不在で盛り上がり、カタが付いたらあっという間に去っていくメディアと政治…イナゴみたいっすね。

記者のひとりが、同様に苦しんでいる人がたくさんいるのに、ナッターの命だけがクローズアップされるのおかしくね?という至極真っ当な疑問にぶつかりますが、そうした視点と問題意識が”バズらない”現実を叩きつけられます。

小さな農村から都心へと飛ぶカメラ。
わずかばかりの金のため農地を売り、都心で肉体労働に励む低所得者を捉えるラスト。

どれだけ視聴率や支持率を伸ばせるか、そうしたクソしょーもない数字のため、合理性の追求のために何を犠牲にしているのか。
(豊かさ)の足下に広がる、(安い)命の価値換算。
じゅんP

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