シラトリーヌ

マイ・ブラザー・トムのシラトリーヌのレビュー・感想・評価

マイ・ブラザー・トム(2001年製作の映画)
4.0
家庭や学校に居場所のない少年と少女が
森の中の秘密の場所にいる時だけ、身体と心の内に抱え込んだ何もかもを解放させる。みたいなおはなし。

YouTubeでしか観れなくて字幕もないので英語力のない私には細かいニュアンスはわからないのだけど、二人の繊細かつ大胆な演技から目が離せない。これほどまでに若さを武器にした作品は他にないかもしれない。

僕たちは兄弟だ、双子だ。そんなことを言いながら幼いケモノの兄妹みたいに全裸でじゃれあってぶつかり合って雄叫びを上げる二人を見て、どんなに創り込んだ芸術も生身の生や性の美しさにはかなわないなと思った。

現実に戻ると鬱屈した日常が待っていて、結局はそこからの逃避でしかない悲しさが痛々しい。若いのにってことで言えばこんなに悲しみを湛えた演技ができることのほうがすごいな。

人間の感情の振れ幅って大人になるほど小さくなるんだなということを実感。minが0でmaxが100とすると、自分は30〜60くらいの間を行ったりきたりしてるだけだなぁと思ったり。殻を破るってそう簡単にできることではないなと。

画質とか編集の粗さとか、技術的なことを言っちゃうとあれなのだけど、未公開なのがもったいないなと思いました。