【未公開合同上映会その3】
私の高校時代に好きだった人は、「誰とでも仲良くできる人」だった。その人のことは自分の矮小な好き嫌いに惑わされることのない、とても自由な人だと思っていた。だけど、最近気がついた。「誰とでも仲良くできる人」は、「誰とも仲良くできない人」なんだって。もしかしたら、私よりもずっと孤独に縛られた人なのかもしれないって。
「誰とも仲良くできない」くせに、私たちは彼彼女を好きにならずにはいられない。何も与えられないのに、奪われるだけ奪われてしまう。
その「誰とも仲良くできない人」にはとてつもない魅力がある。主人公の友人、家族はその人に魅入られて、主人公はまるで寄生されて、養分を吸い取られた草花のようになる。
定義のできない関係や、名前の付けられない不信感や怒りを描いた作品にはやはり強みがある。