湯の街に咲いた悲しい恋の話
スクリーンに映し出されるのはモノクロフィルム
荒い映像に小唄がスピーカーから流れ、弁士の口上が始まりゃ、気分は昔の映画館
女が一人おりました
女は町で一番の器量持ち
言い寄る男は数知れず
偶然出会った旅の画家
女は画家に惹かれていき
また画家も女に惹かれ町に居を構える
女は幸せだった
画家の元へ東京から使いがやってくる
使いは画家に東京へ戻って欲しいと頼みこむ
画家は女愛しさに町を離れられぬ
使いが言うには画家の婚約者は死の床、死ぬ前に死ぬ前にせめて一目
女は画家に言う、「一目会いに戻っておくんなせえ」
画家は必ず戻ってくるから約束し町を離れることに
女は画家が約束を果たすだろうことを思う
でも女は明日には遊郭に売られる身
二度と会えぬと知りながら、画家を見送る女
女の目はくもる、涙が頬をつたう
泣いて別れりゃ空まで曇る
曇りゃ三朝がよ三朝がよ雨となるよ
悲しい話です
男っていうのは戦前だろうが現在だろうが、自分勝手
わかったふりして無くしてしまう
女はわかっていながら受け入れる
何とも切ない恋の話