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ボンベイのBaadのレビュー・感想・評価

ボンベイ(1995年製作の映画)
3.8
恋愛描写には少し難があるが、公開当時傑作といわれた映画。

今見てみると、前半の恋愛映画の部分は昔のハリウッド映画の焼き直しのようでもあり、結婚前の男女交際の困難なお国柄では仕方がない部分もあるとはいえ、主人公の男性の求愛の仕方は、ともすればストーカーめいて見えてしまったりもするので、マニ・ラトナムは社会派映画監督という評価を返上した方が良いのではないのかとさえ思ってしまうのだが、後半のボンベイの暴動と孫の誕生後の双方の両親の態度の変化、主人公の取材から浮き彫りにされる、仕掛けられた宗派対立が暴動に発展していく仕組みなどの描写は、娯楽映画という枠の中では見事で、今見ても見応えがある。

今回は日本で上映されたタミル語版を見たが、インドのミュージカル映画としては短めで比較的見やすかった。

見直してみて、初めて気になったのは、文化的に対立しているとは言っても、建築として文化遺産的な価値もあり、観光資源としても価値のありそうな寺院が政治的なプロパガンダのために壊されてしまうことが、特に問題にされないような描き方をされているのはなぜだろうということだったが、そういう細部が気になってしまうと結構引っかかる部分が多い映画でもあるように思う。

マニーシャ・コイララさんは、まだこの頃はほっそりとしていて、素晴らしくおきれいでした。

(2011/1/23記)
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