りっく

死霊のはらわた IIのりっくのレビュー・感想・評価

死霊のはらわた II(1987年製作の映画)
4.8
まるでジェットコースターのようなスピード感。
イチャイチャや、メソメソや、人間ドラマなんて期待してない。
そんなものに尺を使うホラー映画ならば、サム・ライミでなくてもできる。
物語を語る上で必要最小限の描写だけで切り上げ、後はハイテンションで自分の好き放題やりまくる。
この作り手たちの気概と意欲とテンションで一気に持っていく。
チープさ、恐ろしさ、可笑しさ、全てひっくるめて面白すぎる。

撮影も低予算という制限の中、観客を楽しませようとあらゆる工夫を施す。
ミニチュアやクレイアニメっぽい手法を取り入れる。
赤、黒、緑、青という血飛沫というよりは、むしろ血の洪水。
悪霊の主観視点での、人間を追い詰める疾走感も見事。

恐怖と可笑しさは表裏一体。
「ホラー映画」を怖くないという基準でつまらないと切り捨てるとは勿体なさ過ぎる。
作り手がこれだけ楽しそうにやってると、それは確実に観客へと伝播する。
それこそが、サム・ライミ作品の醍醐味なのだと再認識させられる。
りっく

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