つるみん

快楽の漸進的横滑りのつるみんのレビュー・感想・評価

快楽の漸進的横滑り(1974年製作の映画)
3.3
【最初から全部やり直しだ】

冒頭からパズルの1ピースのような全貌が全く見えないシーンの羅列。セリフはなく、ただただ銃声音と爆発音が裏で鳴り続ける。映像自体は静に近いが、とにかくカット割とサウンドが煩い。

この各々のシーンが後半に繋がる重要なヒントであれば(というかそう思うだろ普通)、物語の構成として楽しめたが、単純に順序よく中盤から後半辺りに映るだけであり、「そこがそう繋がったかー!」などの伏線回収的な驚きは特にない。私には各々の隠喩が何なのか分からないが、表現の自由を利用した人間の性を映し出している。ただ、繋がりであったり、そもそも殺人の話なんていうのはどうでも良くて、それはタイトルの通り、横滑りしていく。

全てのシーンにおいて、監督自身は〝芸術〟として捉えているだろうなと感じ、だから感覚で言えば、「あの絵、俺でも描けんのに、100万の価値あんのかよ」といったやつと似ていると思う。私には到底理解のできない芸術の域である。

ただ一応調べる事は大事なので、何度も繰り返し挟まれる青い靴のシーンは気になり、調べたが、どうやら西洋的解釈からすると「罪のシンボル」という意味が込められているらしい。なるほど。

70年代中盤の映画とはいえ、ヌーヴェルバーグの派生的な要素が組み込まれているのは確かであって、仏でしか撮れないなとも感じる。

そんな事より裸体にペイントしていくシーン、あれくすぐったくないんかな?
つるみん

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