YokoGoto

天使が消えた街のYokoGotoのレビュー・感想・評価

天使が消えた街(2014年製作の映画)
3.4
いつも思う。
悲しくも、事件や事故に見舞われた被害者は、その死後に、生前の写真をマスメディアにさらされたり、過度な演出の元に、生前のエピソードを報じられたりする。
まるで、なにかノンフィクションドラマのように、ワイドショーで何度も何度も繰り返され流される。

『死人に口なし』

なるで、本人から許可を得たかのように、生前のエピソードをドラマチックに演出を施され流される事は、本人は天国からどう見ているだろうか?
私だったら、やめてもらいたいし、そっとしておいてほしい。

もちろん、社会的に影響力のある事件の場合、再発や再犯を防ぐための教訓として、残されたものが学ぶべきことはある。そういう意味では、被害者の生前の情報も必要ではあろうが、過度にドラマチックにする必要はなく、少なくとも死者の人権を尊重する必要があると思う。

本作は、未解決事件に巻き込まれた女子大学生の、その後の話。英国人の女子大生が、留学先で何者かに殺害された事件である。

事件の被害者と加害者の報じ方など、ジャーナリズムに遠回しに一石を投じるようなフィクション映画であり、実際に起きた事件「ペルージャ英国人女子留学生殺害事件(アマンダ・ノックス事件)」を、マイケル・ウィンターボトム監督が映画化した。

個人的には、全く知らなかった事件だが調べてみると、容疑者が美しく若い女性だったため、報道合戦が過激になったのだそうだ。

それらのエピソードをベースに、メディアのあるべき姿や、残された人々に事件が与える影響などを、映画監督の葛藤という設定で描いた作品。

一見、迷宮入りとなる事件のサスペンス映画のようにみえるが、実際は社会派作品。個人的には、割りと好きなタイプの作品だった。

ただ、本編の中で、何かが起きて何かが解決するわけではないので、観終わった後に消化不良のような不全感を感じるかも知れない。
しかし、これこそ、実社会の現実である。

常に、全てが解決し、全てが納得できるものではない。
何かに不全感を感じ、何かにモヤモヤしながら、世の中を俯瞰でみながら、私たちは生きていくのだから。

たった一つの命を失ってしまった被害者の悲しみと、残された遺族の苦しみを救うのは、日々の生活の中で見出す、ほんの小さな希望なのかもしれないと思い知らされる。