パンケーキレンズ

天使が消えた街のパンケーキレンズのレビュー・感想・評価

天使が消えた街(2014年製作の映画)
4.0
実在の殺人事件を扱った映画は数あれど、さすがマイケル・ウィンターボトム監督!斬新な切り口と、冷静な目線、映像作家としての社会の捉え方と表現力に魅せられた♩

欧米では有名な事件のようで、背景に見え隠れする美女とセックスとドラッグが、マスコミの格好の餌食となり、一大センセーショナルな事件へと発展させた報道は、その形を歪ませながら、社会に消費され、消耗され、埋没してゆく…

その大きな渦に身を投じる主人公

1つの未解決事件と
それを取り巻く報道、映画業界
事件の関係者や遺族
いろんな視点を織り交ぜながらも

この映画で暴かれていたものは、事件の真相ではなく

本当の裁きや真実が存在しない、世の中の有様

美人学生が血を流して死んだ
誰の目から見ても「真実」といえるのはそれだけで、言い換えば、それまでの過程、動機、証拠、判決…事件に纏わる全ての事は、ある人にとっては真実でも、ある人にはそうではないのだ

外の世界の真実ではなく
自分の中の真実を見つめよ

この映画はそう言っているような気がした

人と人の繋がりの中で、最後に信じれるものは、自分の中の真実なのだと

それが、現地で出会った美女に映し出されてゆく
明るい笑顔
子供のような無邪気さ
遠く離れてしまった娘を投影させる主人公

そこに感じる愛(愛着、愛情)こそが、唯一の真実であり、かけがえのない存在であることに、主人公は辿り着くのです

これは、「外(事件)」から、「内(主人公の内面)」へと視点が移り、最後には普遍の愛となって「観客」へと投げ掛けられる、人を描いた物語

ダニエル・ブリュールと
美女と
イタリアの街並み
もちろん
視覚的にも優れています♩