八木

スター・ウォーズ/最後のジェダイの八木のレビュー・感想・評価

3.1
 前作で「一般的感覚を持つ人間からみたシリーズ」という切り口や、レジスタンスのチーム感を積み上げながらこの空中戦だったよくわからない戦争を見せたことで、魅力の確立されたキャラとの相乗効果で面白さ爆発だったのですが、今回も旧キャラの丁寧な扱いにぐっとくるものがありました。あんま中身が言えないけど。まーでもEP7見てる人はルークがカギになってることはわかるわな。非常においしい役どころで、旧3部作のウェイ風若者が『伝説のジェダイ』になってしまってることへのアンサーがちゃんとあった気がしました。
 このシリーズってもう、観客が愛せるキャラを探して抱きしめに行くような機能になってるような気がするので、今回も自由に好きなキャラを抱きしめに行けよ馬鹿野郎、という感じはします。ジャー・ジャーは愛されなかったからもうこの世に存在してねえよ。
 僕は前作にポーというレジスタンスの純部品キャラが、その生還を喜ばれたり役割を得て生きたキャラとして扱われていることに、すごく嬉しい気持ちになっていたのですが、今作ではわりと映ってる時間長いのが嬉しかったです。また、すさまじい活躍とかじゃなく、小物感を芯に持ちながら嫌いになれないまっすぐさがあって、更に好きになれましたね。
 ストーリーとしては、「最後のジェダイ」ってつまりどうなんのどうなんの!?という揺さぶりを、カイロ・レンやルークの「人が持つ弱さ」に揺れる姿と被って楽しめてみることもできました。
 でもまあ、さすがに死にすぎじゃないすかね。レジスタンス。あんま書けないけど。ザ・泥縄方式の作戦をぶち上げては破壊してバンバン自滅するんですよ。途中一回具体的に生存人数読み上げるところとかあるんですけど、本来ピンチに感じる焦りエンタメになるはずが、『そっからそんなに攻められて大丈夫なんすか?』と作品的な都合を心配してしまった。すげー攻められんのよ、そっから。あんなに攻められたら反乱軍再建ムリっすよ。主要キャラが生き残ってるのが奇跡としか思えんくらい、すげー攻められるんよ。見て。もう本当に全然書けないけど、フィンよ。最後ね。あれどうするつもりだったのよ。なんかあれやって解決すると思ってたんかね。どうなるか説明しなさい。ちゃんとコミュニケーション取りなさい。
 さかのぼって、レイアさん一旦お休みのタイミングのあととか、ちゃんと会議せえよ。ホウレンソウやりなさいよ。会社だったらもう組織として崩壊してるよ。そら艦内で荒れる奴出てくるでしょうよ。
 今作のジャージャー枠に見事エントリーしましたのはローズさんですね。『これはもしかして、カワイイ、という立ち位置なんだろうか』と考えて見ていたものの、最後まで全くわからない饅頭フェイスと寝起きヘアスタイルで、例えばジャッキーの映画でヒロイン役やってそうな「記号的イイ女」みたいな黙らせ方を全くしてくれないんですよね。残酷なことに、この世に美醜というものがあって、ふさわしい映り方というものがあるということがとてもよくわかります。『そこ育ってたの?』というロマンスもあったりしてクソどうでもよかった。または段々とそのように見えてくる、という演出プランが成功しなかったのかもしれんですね。せめて痩せててくれ。いい女の記号をくれ。
 全体的にシリアスなトーンで話が進むので、笑いを取りに来た瞬間については戸惑いが先にきたりもしました。大体このシリーズってアンドロイドがコメディリリーフで、場面にはっきり異物として映されてて安心して見られるところあったと思うんだけど(今作もそういうシーンあるし)、主要キャラが変なボケ方するときがあって、『あ、この人こんなだったっけ』と思ってしまった。劇場は全くウケてませんでした。
 しかし、フィン、レン、レイにキャラのありがたみははっきりと出ています。また、今作のルークが最高に格好良くて、過去作に加えてキャラに深みが出ていたとも思います。この手厚い扱いがとても嬉しい。いよいよ、最後のジェダイが始まるのだと思うと、最後の方の展開はしっかり気持ちをもっていかれました。見てよかったと思っております。
八木

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