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スター・ウォーズ/最後のジェダイのJIZEのレビュー・感想・評価

4.2
フォースを覚醒したレイが伝説とされたジェダイの騎士ルーク・スカイウォーカーの軌跡を辿り惑星オクトーで再会を果たした前作のその後を舞台にファーストオーダー軍の魔の手が再びレジスタンス軍隊へ襲い来るサーガ続編の第2弾‼2D字幕で鑑賞。主体のストーリーは予想と違ったがダイレクトに前作のラストから"続き"が観れた事にかなり高揚した。今回は甲乙が付けにくい。善い箇所と物足りない箇所が同等にせめぎあってる感覚。また前作『スターウォーズⅦ フォースの覚醒(2015年)』での接待(=同窓会)アプローチとはほぼ真逆だったように感じました。つまり全体のプロットを研き解してみれば起承転結での起部分に時間(ほぼ2/3)が割かれているので各エリアや決戦場面での魅せ場連発というよりかは小粒にエモーショナルな人間ドラマを比重に溜め込み終盤で爆発させる少し『ローグワン(2016年)』と似たような語り口がされている。また今回のプロットを要約すれば恐らくこういう事だろう。つまり"すでに神格化された伝説(=熟練の業)を新世代が受け継ぎ会得していく話"。"真の重荷"を旧世代から授かる師弟のエモーショナルが染み込む。開幕でポー率いる戦隊がドレッドノート戦艦を相手に"ボム"で間一髪のくだりがあるが冒頭でいきなりああいう感動の人間ドラマを放り込んでくるライアン監督の嫌練味は広い意味で前作とぜんぜんアプローチが違い戸惑う節がある。あとレイが渡したライトセーバーを"ある人物"が反対方向へ投げる描写は苦笑しました。。

→作品概要。
監督は『LOOPER/ルーパー(2012年)』のライアン・ジョンソン。主演は前作に続きレイ役にデイジー・リドリー。カイロ・レン役にアダム・ドライバー等が続投。またルーク・スカイウォーカー役にマーク・ハミルがシリーズ最新作へカムバックした事やレイア姫役のキャリー・フィッシャーの遺作となった事からも世界中で絶大な注目を集めました。

→コード破りの達人を探す意外な二人の珍道中。
スターウォーズの"らしさ"を終盤に盛り込み過ぎて均等性が取れてない反面,監督の癖が遺憾無く本作では発揮されている。あまり言及すれば核心へ触れる事になるのだが抽象的な言い方をすれば作品の構造は主にレイパートとレジスタンスのクルーザーパート(ないしフィンのパート)の3展開で最終的に結び合わせるように張られているのだがなんせ"登場人物が各惑星で地面を闊歩して敵と対決する"というお約束がほぼ今回では生じてない。見知らぬ惑星へ降り立ち立ち往生するようなワクワク感が前作と比べても一目瞭然なため冒険劇のバランスはかなり薄かったように感じました。ゆいいつ中盤,フィンとローズ,BB-8が降り立つ豪華な惑星カントニカで荒涼としたフィールドの中である動物に跨がり大脱出パートへ移る大味な疾走感や終盤でのVSファズマ戦など加点式で点数が上乗せされていく箇所もあるにはあった。唸った描写が終盤の"ある人物"とカイロ・レンが直線上で対峙する描写。前作のハン・ソロとカイロ・レンの対構図を直接オーバーラップさせた。

A long time ago in a galaxy far, far away....

May the Force be with you.

→総評(死の刻印を背負った英雄の壮大な決意)。
次回の三作目(完結編)が一体どうなるのか…重要なファクターを除いて登場人物やら今回で材料(布石)をほぼ使い切ったという点ではライアン監督の手腕を買いたい限りである。また事実上キャリー・フィッシャーが死去した事からもレイア姫の溝をどう埋めるのか代打が非常に気になる。鑑賞後から時間が経過すればするほど哀しくなるエモーショナルなこの感覚はなんだろう。序盤の惑星オクトーで辿り着いたレイがライトセーバーをルークに授ける胸が張り裂けそうな前作直後のあの場面から最後のああなる結末まで自分の中ではやや墜ちてしまい複雑な気持ちにさせられた。終盤で旧ファンを喜ばせるあるキャラの登場も旧仕様で型どられていて時間を巻き戻された感覚である。またドロイド各種含め今回は可愛い動物が盛大にコメディ要員へ振り切ってるので中間管理職のチューバッカが隅に追いやられてる感が否めないのだがそういう意味でも約2時間強の長尺を感じさせなかった。主に"あるドロイド"が終盤で大奮闘する活躍も決して見逃せないだろう。ドロイドは神で正義。あれこれ述べてはみたものの冒頭のお約束ファンファーレから銀河系を軸に交わされる熱い攻防すなわちスターウォーズを観た幸福感は何物にも変え難く今回もほぼ大満足だった。メカ周りではミレニアムファルコンの追撃描写も前作から色褪せず最高でベニチオ・デル・トロが演じたDJも個性がいい案配で整合性が取れていたように感じる。ダークサイドに墜ちたカイロ・レンが葛藤の末に過去を省みてどうなるか…全体を見渡せばそこに集約点が置かれていた。とりあえずまた2年後が楽しみ。今年を締め括る重要な1本である事は間違いないのでぜひ音響が良い映画館でお勧めします‼!
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