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スター・ウォーズ/最後のジェダイのpikaのネタバレレビュー・内容・結末

1.5

このレビューはネタバレを含みます

私のスターウォーズは今作で終焉を迎えた。
ルーク・スカイウォーカーという神格化された存在を否定し、新たなるジェダイは名もなき血筋の者であり、ルーカスの作り出した神話、伝説は終わりを迎え、新たなスターウォーズが始まった。

私の好きだったスターウォーズは=ルーカスの作家性だったんだ、映画史史上最もお金をかけた自主制作を成功させた稀代の存在が生み出した伝説は、映画界を飲み込みつつあるディズニーへと渡り、1人の男の描いた銀河は世界中の人のものへと成らざるを得なかったわけだ。
カイロレンが厨二病キャラとか言われてるけど、ルーカスのスターウォーズは全編厨二病みたいなものだし、少年の夢、願い、希望みたいな思い描いたものが映画になったみたいな、こんなクオリティの高いエンタメ作品ではなくもっと個人個人に迫るミニマムなものだったのに、ツッコミすら愛おしく、好きなキャラも嫌いなキャラもいるような、観客の嗜好に沿うリアリズムではなく「あっ!」と驚く新鮮な衝撃が魅力だったのに、過去作、ルーカスからの脱却とはこういうことだったのかとヒシヒシ感じた。

始まる前の予告も長いし本編も長いし、クライマックスが5回も6回もあってお尻が痛かった。
何度か頬を濡らしましたが、そのシーンは全て過去作への目配せ的なシーンであり、新しいスターウォーズへの興奮ではなかった。
普通にSF映画としては面白いんだけどスターウォーズではないっつーか、スターウォーズってそれぞれの人の中に様々な形で存在してると思うけど、ハンソロが死んでルークが死んで、キャリーフィッシャーが亡くなって、ルーカスのスターウォーズは本当に終わったんだと、いや、本当は「フォースの覚醒」で終わっていたんだけど、JJの仕事が上手すぎて全く気づかなかった。

ルークは終始ヒーロー的ではなく、弱く脆く、それこそ「父さん!」ばっかり言ってたオリジナル3部作の弱さを受け継いでいて、独善的で盲目的だけど結果伝説となってしまった、神格化されていた自分への葛藤とか逃避とかそこらへん良かった。
見てる間は「最後まで何がしたかったん?」とイライラモヤモヤしたけど終わって考えればあれこそルークって感じ。
そんなんだから未だにヨーダに尻拭いしてもらうんですよ、ってのは素直にボロ泣きしましたが、そんなんばっかりやってると目配せも度が過ぎてる感じもして。
タトゥイーン夕日やりたかったのはわかるけど個人的にはそれならオビワンの死とリンクさせて欲しかったなぁとか。どうでもいいけど。
レイとカイロレンの関係にはグッときたし共闘シーンは痺れたけど「ジェダイの帰還」皇帝死亡シーン並にあっけなく退場するスノークとかそんなんでいいの?

だいたいレイとカイロレン、レイとルークの絡みの部分長くね?何ヶ所で色んなこと並行して起きてるってのはスターウォーズの常だけど、シーンの切り替わりが多すぎて全然進まないしグダグダといつまでやってんの?って疲れた。
少しずつ話は進んでるとはいえ、レイの長すぎる自分探しの結果はあっけないし、ライトセーバー練習してドヤってるけどあんまりカッコよくないし、似たような画がずっと続いていて飽きた。
それらの過程があるからラストへのカタルシスになるのは理解できるけどあんなにグダグダやるんなら飛ばしてもいいっすよ、別に。過去作のような銀河幕の内弁当みたいな数々のシーンはなく、なんかずっと地味だし。「帝国の逆襲」もそうか。まぁいいや。
二回見ようと思ったけど早送りしたいシーンが多いので劇場ではもういいかな。

新しい方向へ向かうためにこれまでのスターウォーズのお約束ごとは全てスルーした展開で観客の度肝を抜くってのはいいんだが、前提があるからこそ成立するものなので度肝を抜くほどの新鮮さとは言えないっつーか、ただ「お約束をやらなかった」「神話を断ち切った」というだけでちょっと中途半端かなぁと。
ルーカスという存在から離れるために必要以上に意識しすぎたのか、いやそれは当然のことだけど、それにしてはやり方に思惑が透けて見え過ぎた感じが。
ローグワン的な御涙頂戴展開が何度も形を変えて出てきたのとか、カジノの展開とかドヤ感が凄い。

4点付けといて文句しか言ってないんですが、私にとっての最後のスターウォーズに対してこれ以下の点数はつけられません、ということで。さようなら、スターウォーズ。
これからは気持ちを新たにディズニーのスターウォーズとして楽しんでいきます。

『スカイウォーカーの夜明け』を見て感動したので今作の評価をダダ下げます。今作だけグッバイ永遠に。もう見ることはないでしょう。
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