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スター・ウォーズ/最後のジェダイのyoucanのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

ジェダイの武器がなぜライトセイバーなのか、がわかった気がした映画だった。劇中でルークがレイに「なぜ自分の存在が必要なのか。ライトセイバーをぶんぶん振り回すことで解決できる事態なのか」と、反乱軍に加入することを拒否する場面がある。ライトセイバー1本では解決できない案件があり、若いころのような脳筋プレイではどうにもならない状況まで追い込まれている。そんな中、変に希望を持たせてより深い絶望を味わわせるわけにはいかないという思考に達するルークの気持ちはわからなくはないし、甥っ子カイロ・レンがダークサイドに落ちるのを止められなかった慚愧の念ゆえに聖地に引き籠るのもやぶさかではないと思う。スター・ウォーズの名の通り宇宙規模の戦争は、光る剣1本が在ったところで意味が無いのだ。それをルークは、奇しくもスノークもフォースの光と闇の異なる側面から同じ結論を得ていたといえよう。
しかし、だからこそ際立つ映画だったと思う。ジェダイの武器はライトセイバーである!と強く確信させる内容だったと僕は感じた。そこだけえらく感動した。そこを熱く語りたい。
視聴者の多くが唖然とした場面が中盤に差し掛かるあたりであったはずだ。そう。ファーストオーダーことスノークの死亡である。前回までホログラフィックでミステリアスな雰囲気を全面的に醸し出していて、強キャラ感が惜しみなく出されていたスノーク大先輩がまさかの中盤に退場である。スノークで結局誰だったんだ。本当にメイス・ウィンドウだったのか。今となってはもう誰にもわからない存在だと思う。でもそれでいい。僕が強調したいのはスノークは強かったということだ。ここは意見が分かれるかもしれないが、僕はスノークは滅茶苦茶強かったと思う。現場責任者を遠くにあれだけ離れていてもフォースでねじ伏せることができること、カイロ・レンよりフォースの力では勝るレイがスノークのフォースの前には手も足もでなかったこと。カイロ・レンとレイのフォースを繋げるという離れ業が可能なこと。どう考えてもスノークはシディアス並みに強いことが窺い知れる描写だと思う。スノークは不気味でしわくちゃで頭も回って、フォースがあの世界では最強レベルの敵役なのだ。それをカイロ・レンがあっさりと倒す。何で倒すのか。そう。

ライトセイバーで倒すのだ。

今思い返せば、2のヨーダVsドゥークー伯爵でドゥークーのフォース・ライトニングをヨーダがライトセイバーで受け止めるシーンがある。フォース・ライトニングは完全にダークサイドに落ちていなければ使えない技であり、その威力は超強力で、一度喰らえばしばらく行動不能にさせられるほどだ。そのダークサイドの力を受け止める武器がライトセイバーなのだ。もちろんフォースで受け止めることも可能なのだが、ライトセイバーは闇の力を断つ能力があることに着目したい。
スノークがいかに強くても、どれほどフォースに優れていても、ライトセイバーというジェダイの象徴ともいえるあの武器こそが、唯一無二にしてダークサイドを打ち倒す術・業・武器なのだと僕はあの一瞬で思った。だからほかの人はスノークは弱いなあ、あっさりすぎて意外だったわと感じたかもしれないが、あのワンシーンのカイロ・レンがスノークを撃ち取るあの一瞬こそライトセイバーの真の意義が垣間見えたと思う。
そしてそこからのカイロ・レンの正義が見えるのが良かった。理想論だけに流されない現実主義的な思考。ある意味でカイロ・レンこそが一番世界を見えていると思わされる。スノークのやり方は間違っている。だが、反乱軍の抵抗が何かを生むわけでも無い。一番現実的に恒久的な平和を作るのは、帝国の強大な力を使って力で統治する事だというのが、これこそが本当の近道なのだと悟っているのだ。彼は手段こそ悪なれど、為そうとしていることは善なのだ。だからだろう。彼は悪になり切れず、そして善にも戻れない。葛藤が強く、理解者もおらず、そして偉大なマスター、伝説的な存在であるルークにすらその葛藤の真髄が見抜かれていない。ゆえに彼は自分を信じてダークサイドを行くしかなかったのだ。彼は悪の面もあるし、善の面もある。今までのスター・ウォーズにはなかったキャラの位置づけとして、だからこそ今作のスター・ウォーズシリーズは面白いのではないかと思う。そしてその両方の側面があるのはカイロ・レンだけではない。
そう。主人公レイだ。レイも悪の面があり、そして善の面がある。この2人は同じなのだ。悪も善もお互い両方持ち、そしてフォースで繋がったという面からフォースの性質も似ているのかもしれない。互いが互いを似ていると自覚しているからこそお互い分かって欲しくて、
レイはそれを善の面から
ベン・ソロはそれを悪の面から
話し合う。そしてフォースの衝突に至る。
一方的な正義の話でも悪の話でもないのが面白いとこだし、そういう意味ではまだ続編が気になるところだ。

だが。
すぐには見たいなあという気持ちにはならなかった。
理由は2つ。
1つはフィンサイドの話だ。ぶっちゃけ言おう。つまらん。フィンとローズの話が本気でつまらなくて、見ているのがやたら長く感じた。カジノの煌びやかな雰囲気を見せて善も悪も武器商人からしたらグレーゾーンであり、本当の善も悪も曖昧で、とらえ方次第であるというメッセージ性は伝わった。が安っぽいシナリオで面白みにかけた。言ってしまえばよくある話というやつだ。どうでもよかった。それに追い打ちをかけるようにローズのキスが入り、正直見ていられなかった。誰だあんなブスを雇ったのは。ローズのキスシーンに前の席の外国人がファーックと言わんばかりに中指を立てていたが、気持ちは同じだった。なんだあれ。何がしたいんだ。レイはなんなんだ。フィンにとってレイとはなんなんだ。この映画の監督はフィンとレイの関係をどうしていきたいんだというのがわからなくなってしまって、フィンがそのあとレイと抱き合うシーンがなんか純粋に見ていられなかった。レイとフィンはこれからズッ友路線でいくのか。ローズが出てきたばっかしに話がこじれて、安っぽくなってしまった。宇宙で戦争してんだぞ!何やらかしてくれたんだよ本当に!壮大なストーリーにヒビ入れられた気がして、ほんと、ローズという存在がマジでこの映画の点数を1.8点下げてくれた。ローズの存在で肌・人種問わずグローバルな映画にしたいのかもしれない。宇宙人出してる時点で今更だろそんなの!
そして2つ目。謎のギャグシーンの多さ。やたらとギャグシーンを突っ込んでくる。そしてどれもおもんない。というか場をシラけさせている気がする。7のような、カイロ・レンがブチ切れてなんか壊しているから近寄らんとこ的なストームトルーパーの動き。ああいったクスッとくるようなユーモアを2、3個差し込むのは、張り詰めっぱなしの映画になるよりかはいいと思う、むしろやって欲しいとすら思う。だが8は明らかにやりすぎで、どれも覚えていないぐらいどうでもよかった。なんか変な梟みたいなやつがやたら幅を効かせてきていたけど、どうでもよかった。僕はあの生物を特に可愛いと思わなかったしね。なんか黒目がやたらでかすぎて気持ち悪かった。
やたら新しい動物(宇宙生物?)が登場してたけど、それはラストの脱出するときに動物に助けてもらうという伏線なのかなと思えば、そこまで気にしなくはなった。だがローズ。テメーはだめだ。

何はともあれ、8は面白くないわけじゃないけど、スター・ウォーズという看板のおかげで今回は救われたんじゃないかなと僕は思った。この映画を好きだという人もいると思うけど、ひとつ言いたい。ローズやくだらない描写を切って、もっとルーク、カイロ・レン、レイの3人に焦点絞ったら、もっと面白い映画になったんじゃないか?って。僕はそれをとにかく言いたかった。

9!ハン・ソロの外伝は見るかどうかわからないけど、9は見ます!面白い作品になりますよう願っております。元の監督に戻るようですね。最後どう風呂敷をまとめるのでしょうか。楽しみにしております。

そして最後に。
ルークがしぼりたての牛乳を飲むときのドヤ顔。あれが目に焼き付いて離れません。そんな方が他にいらっしゃいましたら、どうぞ、コメント残して下さい笑

長文失礼いたしました。最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
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