ロッツォ國友

スター・ウォーズ/最後のジェダイのロッツォ國友のレビュー・感想・評価

2.8
「素晴らしい
今お前が言ったことは
全て間違っている」



ヨーダやオビ=ワンが去り、強大な力を持つ帝国勢力が全てを掌握して尚、伝説となったジェダイの復活に希望を託す反乱軍と、
ジョージ・ルーカスが去り、強大な力を持つディズニーが全てを掌握して尚、伝説となった名作の更なる成功に期待を寄せる我々ファンの姿は完全に重なる。


その帝国勢力にも既にシディアスの姿は無いように、ディズニースタジオにもウォルト・ディズニー本人の姿は無い。
もう始まりなど誰も覚えていない中、終わらない戦いの歴史が二代目三代目達の手によって紡がれていくこの物語の事情は、スターウォーズという映画そのものが抱える歪さとほぼ同一である。


いつまでやる気なのだろう…


やる気のない引きこもりのジジイを過度な期待で叩き起こし、使い古しのミレミアムファルコン号やらスピーダーやらを酷使し、何代目だか分からん騎士達の殺し合いは終わらず、帝国軍は相変わらず圧倒的な物量と破産寸前の町工場より酷いマネジメントで微妙な失敗を繰り返す……


初期メンバーがキャラクターとしても役者としても確実に老い、時に亡くなっていきながら世代交代が進んでいるが、今作でも悲しいくらい人が死ぬ。
もう何の為に戦っているのか分かんないんですけど…w

そういった戦いの中「続ける為の延命措置」に満ちた本作に対しては、複雑なものを感じないでもない。

ストーリーはまぁ良かった。
戦闘シーンは全部最高に良かった。アガるシチュエーションの中でアツい構図を作り上げるのが凄く巧いと思った。
だからバトルに関しては本当に最初から最後まで文句がなかったな。カッコいい。



ただ、全編に渡って強く感じさせられたのはやはり「延命措置」のニオイ。
無論ピンチからの脱出展開を描いているから求心力はあるんだけど、これまでのスターウォーズに比べると若干スケールが小さくなっている気がする。
だって問題解決をしても事態はそこまで動かないのを随分忙しくあれこれやって2時間半に伸ばしてるんだもん。
人が死に過ぎる割に希望がとても細い。


前に書いたと思うけど、バークレーの映画評論将軍 町山智浩先生の仰る通り、
「ディズニーがスターウォーズで儲けようとする限り銀河に平和は来ない」
のではないか。


現に、エピソード7.8.9の三部作の次に10.11.12の構想があるとか無いとか聞いた気がする。

続ければ続けるほどストーリーは薄く安くなり特別感は喪われてゆくと思うし、スターウォーズインスパイアでSFが進化し過ぎて皆の目は肥え過ぎているし、何より、懐かしさだけで儲けるにはあまりに時間が経ちすぎている。

「スターウォーズ」シリーズの作品として楽しめたのは事実だが、一本の映画としてどうかと言われると…ちょっと分からない。
そもそもどんなにキャラクターが頑張ってももう終わりはしばらく無いのだと思うと正直どうでもよくなってくる、んじゃないかな?
幕引きとして9で終わらすのが限界だと思う。


4.5.6は今観ても面白い。
1.2.3は酷評されているらしいが、幼い頃最初に観たスターウォーズとして大好きだ。
7も源流リスペクトが激しくて最高に良かったし、3.5に当るローグワンもスピンオフとして非常に楽しめた。

でももういい加減に苦しい。
これからも莫大な広告費を掛けるだろうからそれなりに金にはなるのだろうけど、この先に面白いスターウォーズは無い気がしてくる。
ジョージルーカスと共にスターウォーズを愛した初代ジェダイ達ももうオジサンだ。

品を変え味を変えてガンダムや仮面ライダーみたいになるんだろうか。
マニアック趣味になる一方だと思うけど。

とまぁ、何か、色々苦しい大人の事情が気になってしまいました。



あと、ギャグのセンスが非常に安くてこれも気になったかな。今までは7も含めて、もっと場面をうまく使ったウィットに富んだユーモアがあったと思うけど、今作ではコントみたいな、楽しい掛け合いみたいな笑かし方を志している。

ずいぶんポップで場違いなノリが多いなと。
こういう感じで薄味にやってこうって腹づもりなのかな。
サムい!とまでは言わないが、あんまりノれなかった。



うん、捻くれてるからまーた苦言が多くなっちゃった。でもやっぱシンプルに受け入れられないのは大手シリーズには付き物だろう。

ディズニーさん、もう、ヤメにしねえか。
帝国も反乱軍もジェダイもシスも十分やったし、最初のボスはどこにも誰も居ないじゃないか。


面白かったけど……もう、疲れちゃうよ。
ロッツォ國友

ロッツォ國友