Ryu

スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明けのRyuのレビュー・感想・評価

3.8
❏良くも悪くも保守的な作品
ライアン・ジョンソンが監督を務めた前作『最後のジェダイ』は、様々な点において革新性を追求し、ストーリー的にも視覚的にも斬新な作品となった。しかしファンの間では世界観を傷つけられたということで不評の作品でもあった。そんなこともあってか、J.J.エイブラムスが監督を務めた本作『スカイウォーカーの夜明け』はいい意味でも悪い意味でも保守的な作品になっている。保守的だからこそ、『スターウォーズ』らしい血統や宿命というテーマを中心としたストーリーがよく描かれており、前作に比べ、ファンの期待に応えた作品となっているような印象を受けた。しかし保守的ゆえに、過去作の二番煎じ感というのは否めず、少しストーリーに物足りなさを感じた。個人的にはもう少し捻りのあるストーリー、展開というのを観てみたかった気もする。

❏パルパティーンの再登場
本作では、エピソード6でダース・ベイダーによって倒されたはずのパルパティーンが復活を果たしており、過去作も含め長年シリーズを追ってきた一ファンとして、このパルパティーン復活は予期せぬサプライズだった。しかし嬉しい反面、個人的には複雑な気持ちもある。そもそもパルパティーンはエピソード6で死亡しているはずであり、ここで続三部作の真のラスボスとして実は生き延びていたということで、再登場を果たすのは何か無理やり感じる。それに続三部作の最終的な目的がパルパティーンを再び倒すことだったのなら、それは旧三部作で描かれたことの繰り返しに過ぎず、個人的には新たなラスボスを登場させることで続三部作らしいストーリーを描き切って欲しかったというのが正直なところだった。

❏本作におけるカイロ・レンとレイの描かれた方は秀逸
個人的に本作におけ?カイロ・レンとレイの描かれた方というのは素晴らしいなと思っている。カイロ・レンは自らの手で殺した実の父親、ハン・ソロの霊に説得されることにより、スカイウォーカーの血を引く者、ベン・ソロとしてライトサイドに戻りパルパティーンの脅威からのレイを救うことで自らのスカイウォーカーの血を引く者としての運命に立ち向かった。一方でレイは、パルパティーンの孫であることが明らかにされ、初めはその運命に向き合おうとしないものの、最後にはカイロ・レンと共に戦うことで運命に打ち勝った。そして最後のシーンでルーク・スカイウォーカーの形見であるライトセーバーを埋め、代わりに黄色のライトセーバーを持つことにより、ジェダイ(青)でもシス(赤)でもなく、ルーク・スカイウォーカーやハン・ソロ、カイロ・レンや、レイアといったスカイウォーカー家の意志を継ぐ者としての生きる決意を固める。本作における二人のこの描かれた方というのは、ファンとして納得のいくものだったし、何より『スターウォーズ』の一つのテーマである、血統や宿命というのを見事に表現している。

❏総合的に完結編に相応しい作品だった
個人的に物足りない点も、ちらほらあったものの、レイやカイロ・レンの描かれた方であったり、過去作との繋がりを感じさせるオマージュや演出であったり、『スターウォーズ』が持つテーマをしっかり踏んだストーリーであることから本作は総合的にファンとして、納得のいく完結編に相応しい作品だった。

⑤続三部作の存在意義
本作を観終わって、まず感じたことは、続三部作は僕のような若い世代が『スターウォーズ』という素晴らしい作品に出会い、そして映画館でこの素晴らしい作品を観る機会をくれたこと自体に存在意義のあるトリロジーだったのではないかということだった。もしこのトリロジーが存在しなければ、最早一種のコミュニティに化している『スターウォーズ』を通して、様々なファンと交流し、議論し、そして感動を共有することは無かったかもしれない。もっと言えば、映画館の大スクリーンでBGMと共に現れる『STAR WARS』のロゴマークを観ることすら無かったかもしれない。そう考えると、単に作品に留まることなく、様々な点において意義のあるトリロジーだったように思う。