t0mori

スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明けのt0moriのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

非常に満足度の高い(取り敢えずの)完結編だった。

JJのまとめ力に脱帽。

前作『最後のジェダイ』は色々と問題のあった作品でもあったが、同時に僕の中では、スターウォーズシリーズの本来の在り方に強引に戻した怪作という評価。そのメッセージとバトンをしっかり引き継いで、膨らまし、フォースを個々の人間の在り方、生き方の指針として見直し、ライトサイドとアウトサイドの間を、銀河の運命を、愛と絆で解決に導いた演出に痺れた。尚且つ、アイデンティティが希薄故に揺らぎながら、理性で自らを律して生きて来たレイというキャラクターが、自分の居場所と在り方を獲得する、極めて個人的な物語でもあった。この二つが両立していたのが素晴らしい。

元々、JJ・エイブラムスと言う人はウェルメイドな秀作を作る、真面目な優等生タイプの監督で、逸脱があまり得意ではない。作品が破綻してでも、「俺はこれだけは言いたい!」みたいな主張が、極めて不得手な人だと思ってる。良い悪いではなく、パーソナルとして、そう言う職人的なところのある監督だ。

そんな彼がep.8にライアン・ジョンソンという、一風変わった風を取り入れた事が、今シリーズに於いて最大のファインプレーだったんじゃないかと。少々粗雑で乱暴な物語進行でファンの反感を買ったけれど、ep.4でルークが夢見た都会、何者でもなかった自分が、フォースという存在を知り、自らを磨く事でアイデンティティを獲得していくと言う、このシリーズが本来持っていた若々しさのような物を指し示して見せた。これにJJも見事に応えた形となった。

シリーズが完結して、今にして思えば、ep.7段階でのJJは、もっと言えばep.1〜3を仕上げて、尚且つ旧シリーズにも要らん手を入れ始めたルーカスでさえも、血族の物語と言う、映画的で物語を組み立てやすい魔力に惹かれ、ダークサイドに堕ちかけていたんじゃないかと思ってしまう程だ。

そこまでのシリーズのファンではなかったが、少なくとも自分にとってのスターウォーズは、今作で完璧に収まるところに収まって、大変に満足した。子供の頃にep.4を観た時の興奮が、確かにここにあったと思う。

スタッフ、キャストの皆さんに感謝を伝えたい。ありがとう。
t0mori

t0mori