マンボー

スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明けのマンボーのレビュー・感想・評価

3.5
観た。JJエイブラムス監督は如才ない監督だと思っていたし、それを裏付ける作品だったと思う。

ただもうストーリーは、何が何やらピンとこなくなってしまった。

主筋は、苦しい局面で希望を捨てずに力を付けて、何とか様々な仲間(有色人種、獣型宇宙人、ロボットいやドロイドか!)に助けられながら、手段を選ばず権力を握り、やりたい放題?を企む悪の亡霊を、奇跡を重ねて討ち倒すといった少年ジャンプらしさに満ちた、いやディズニーらしい毒気のない健全さに満ちたストーリーなわけだが、本作は前々作に引き続き展開が急で、さらにこれまで以上にエピソードに遊びがないから、スクリーンを見つめながら、やや息がつまる感覚も覚えた。

また、ストーリーにどうしても厚みがないのは、悪者の悪者たる背景が、雰囲気頼みであまりにも見えにくいから。加えて毎回の剣舞にも、もう少し何らかのアイデアがあってもよかったのかも。さらに、様々な星々の壮大かつ奇異な情景も、今や過去作で見慣れてしまい、新鮮味に乏しく映ったことも惜しかった。

そして壮大な宇宙を舞台にしながら、最期はやはり自分の内なるものとの戦いとなる展開や、二天一流の影が差すラストは、徹底的に和風の味付けだったが、どうにも自分が日本人ゆえか、意外性に欠けてしまった印象も。

前作は、レジスタンスが撤退戦を強いられ守勢にならざるをえないストーリーながら、その見せ方と展開手法に新味と工夫とを感じたが、今作は大団円に収めるために奇抜なアイデアを絞り出さずに、やや甘めのご都合主義にはまり込んだ印象。

チューバッカはなぜ生きていた? 似た名前の二人のキスは「君の名は」の互いが惹かれ合う理由よりもさらに分かりにくい。大蛇のシーンはスターウォーズである必要がある? パルパティーン、ランドって、もう少し伏線がないと。民衆の蜂起に戦闘力を期待するのは、特殊な技術が必要なはずの未来の宇宙では無理があるのでは? 

これを単独の一話と見なして厳しく論評するか、雰囲気頼みの各場面と見え見えの大団円でも、スターウォーズ全体を思い起こして鷹揚に構えるかは、この長尺の宇宙叙事詩(スペースオペラ)に対する愛着の差に違いない。