Filmoja

スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明けのFilmojaのレビュー・感想・評価

3.5
年末年始にフォースのバランスを崩してしまい、しばらくライトサイドとダークサイドの狭間をさまよっていたので、ジェダイマスターに救いを求めるように今年初の劇場鑑賞。

これまでのシリーズを何本か復讐、いや復習したり、洋泉社新書「スター・ウォーズ 禁断の真実(高橋ヨシキ)」を読んではるか彼方の銀河系に想いを馳せながら、過度な期待をせずに臨んだ。

前情報としての監督降板とJ.J.の帰還…はさておき、あまり芳しくない評判や「スカイウォーカーの夜明け」というサブタイトル、シスの皇帝パルパティーン復活のトピックから、“いやな予感”がしていたから。

フタを開けてみれば、やっぱりつまらない…わけでもなく、決闘の迫力や見せ場はしっかりと用意しつつ、エモーショナルなドラマや完結編らしい仰々しいクライマックスに、感動的なフィナーレ…という、見事なまでの軌道修正と万能フォースで万人向けのラストエピソードを描ききった。…かといって手放しで楽しめたかというと、 微妙なところ。

若干駆け足ながら、J.J.ならではのバランス感覚&ファンサービスで最大公約数的なおもしろさを狙ったという印象で、「フォースの覚醒」と同じく目新しい展開や演出などはなく、結局は旧作のトリロジーをなぞりつつ、シリーズの様式美的な“古めかしさ”をひたすら繰り返すだけで完結してしまった。

これでは「最後のジェダイ」での懐古主義の一掃と、旧きものが滅び、新世代の戦いが本格化していく前フリがすべて棄却されてしまったことになる。
ローズの扱いを含め、熱心なファンの不評やバッシングに屈したと思われても仕方がない。

前作は確かに“らしさ”が薄れ、不必要な描写や冗長とも思えるシーンが多く、細かな粗も目立つけれど、先の読めない目まぐるしい展開を見せるストーリーや、キャラクターの内面にフォーカスした光と闇に揺れ動く心理描写が巧みで、新たなSW像に挑戦しようとした点は評価に値すると思う。

そういう意味では、今回の続3部作(シークエル)はジョージ・ルーカスが生み出したトリロジー及び前日譚であるプリクエルの革新的な驚きと感動を超えることはできなかった、というのが率直な感想(越えるべきハードルが高過ぎた)。

特にキャラ設定の曖昧さや唐突すぎるご都合的な展開、3作通してのまとまりのなさは致命的だったように思う。
結果的に近作で最も完成度が高かった(と自分は思う)のが、旧作に最も近いストーリーをスピンオフとして描いた「ローグ・ワン」というのは皮肉な話だ。

若く魅力的なキャストを配しながら、旧世代の偉大すぎる存在を前にそれを活かすことができなかったシークエル。
スカイウォーカー家の呪縛から解き放たれた今、これから製作されるであろう新シリーズに“新たなる希望”はあるのか。
前作に続き、今後の新シリーズを指揮するライアン・ジョンソン監督が、再びフォースを覚醒させてくれることを願う。
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