青春モノに弱いので、たまにドハマリします。見事にハマってしまった！こういう身の回りの狭い世界を丁寧に描く作品に惹かれてしまう。
今作は低予算の手作り感が好みで、登場人物がみんな好き。冷静に書けないので長くなります。
👇以下、独り言＆覚え書き＆ネタバレなのでスルーで！
自己肯定感の弱いグレッグと彼の幼なじみで自主映画製作仲間のアール、そして白血病を患うレイチェルが織りなす、高校生活最後の年の友情物語。いろんな伏線が後半で花開く、繊細な作りが大好き！
●泣かせやがってコノヤロウ！となる
白血病の少女の話といえば『セカチュー』的な死をテーマにした王道ストーリーだけど、これは恋愛じゃない。死を扱っているのに爽やか。
シリアスを避けた、個性的キャラと微妙に笑えない会話で繰り広げられる前半から、次第に主人公の気持ちや行動が変わっていく後半とのギャップに心を射ぬかれる。そして、ラスト20分の温かさに涙が止まらない。監督、ズルイよ。
ブライアン・イーノの曲が優しくて馴染んでるのもよかった。
●映画へのオマージュと美術スタッフのこだわりが濃い！
監督の好きな映画監督や映画への想いに溢れている。PC画面に何気なく『大人は判ってくれない』やスコセッシのドキュメンタリーが映ってたり細部まで目が離せない。
主人公が有名映画のパロディを自主製作していて、短時間ながら映像化している。人形のストップモーションや手描きのポスターなど、手作り感満載ですごく楽しい！美術スタッフのセンスとこだわりに脱帽です。
第七の封印→第七の強引
ベニスに死す→テニスに死す
時計仕掛けのオレンジ→木綿仕立てとオレンジ
羅生門→ラ・性病
↑こんなくだらないのを映像化した美術スタッフの熱量。
たびたび登場するヘラジカ（イケてる女子）に踏まれるシマリス（冴えない男子）の描写が最高♪モテる女子のボディタッチはモテない男子には拷問。笑
映画を観ながら死ぬ、そのシチュエーションだけでも映画愛を感じて感動！悲しいけど優しいシーンだった。
レイチェルの部屋のインテリアがとても落ち着くし、衣装や帽子やクッションがいちいち可愛い。壁紙と本の彫刻の演出が素晴らしいアイデア。美術スタッフや衣装さんに“ありがとう”と言いたい。
●父に捧げる物語
原作はあるけど、監督の父が今作を製作する1年前に亡くなったこともあり、父に捧げた作品でもある。“大切な人を失う悲しみや怖さを描きたかった”との監督談。
グレッグの尊敬するマッカーシー先生が語るシーンがよかったなぁ。そこがキモなんだろうなぁ。
「誰かが死んだ後でも
その人のことを知ることがある
こっちが忘れなければ
新たな発見がきっとある」
すごく身に覚えがあり、後で沁みてくるセリフ。裏を返せば、生きているうちに出来るだけその人を知ることが大切だってことでもある。
今作に出てくる父が最高！ヘルツォークの作品を観てたり、スルメや味付け海苔を食べてるヘンテコでカッコいい父。
余談:
マッカーシー先生の部屋のドア上に書いてある「LIFE IS FOR SERVICE」は実際に監督の父がよく言っていた言葉なのだそう。人生は奉仕だ！
レイチェルの部屋にはこっそり監督の両親の写真も貼ってある。
●3人の関係が絶妙なバランス
3人の関係性がベタベタしてなくて気持ちいい。さりげないアールの優しさが沁みるなぁ。グレッグは恵まれたヤツだ。
きっかけはどうあれ、グレッグとレイチェルは必然の出会いだった。
クラスで一番イケてる女子も実は本音で話す友人がいなかったり、レイチェルだって本当は孤独で、みんなクラスの子とはうまく立ち回って付き合ってるだけ。だからレイチェルは嘘をつかないグレッグを知って距離が縮まったんだと思う。
病気のレイチェルが励まされていたように見えて、実はグレッグが彼女からたくさんのことを受け取っていた。本当に素敵な関係性。
●役者が魅力的
レイチェル役のオリヴィア・クックの演技が素晴らしく、スキンヘッドも可愛かった。アール役のRJは初の映画出演だったそうだけど、ピュア感がある。もちろんビーバー顔したグレッグ役のトーマス・マンも、父や母たちも最高！みんな最高！
P.S.
特典映像のグレッグによる自虐な予告編はオススメです！凝りすぎだろ〜笑
今年一番泣いた。泣くことを前提としている作品は嫌いだけど、これは意表を突かれた感覚でものすごく刺さった。青春モノの良作は心を浄化してくれる作用があると思う。80歳になってもこの感覚が味わえるといいなぁ。
どうでもいい余談:
日を変えて4回観たけど、泣くシーンになるとなぜかウチの猫がニャーニャー鳴いてやってくるので、肝心のとこが集中出来なかった。
慰めか？嫌がらせか？笑
今年1番、猫が邪魔した作品🐈🐈🐈
