ひば

ぼくとアールと彼女のさよならのひばのレビュー・感想・評価

5.0
あの子白血病になったの…友達なら励ましてあげなさいと無理矢理家に通わされることから始まる物語。いや友達じゃない。恋でもない。粋な言葉もない。しかし沈黙を愛した彼女の部屋はなによりも雄弁に語りかける。ダメなんかじゃない、君は最高。

正直グレッグは変わらないと思ってた。
自尊心のなさ、卑屈さ、特別な関係をつくることを怖がり、他者の言葉も響かない。そういう人間は長い時間をかけゆっくりコトコト煮込まれて出来上がることを知っている。私がそうだから。
結論から言えば、彼の根本はたぶん変わってない。でも根っこから上は大きく変わった。見えない部分はそのままだっていいさ、君だけのものだ。でも見える部分はひけらかしてやれ、お前は最高なんだから、と。そう説かれたようで。
グレッグが
「かっこいいだろ?」
とスーツを着て一回転するシーン。
泣いてしまった。

余裕なんていつもない。目の前にあるものだけしか見えないのだから、愛だの絆だの高尚な言葉は一切出てこない。だからこそストレートな表現に救われることだってあるんだと。こんなエレガントでクールな"俺の屍を超えてゆけ"見たことある?超傑作です
ひば

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