JIZE

青鬼 ver.2.0のJIZEのレビュー・感想・評価

青鬼 ver.2.0(2015年製作の映画)
3.0
新種な青鬼を交えブルーベリー色の全裸な巨人が若者達に襲い掛かる高機能を完備した実写化第2弾!!自室の現実側と廃屋の架空側で階層が錯綜した連携感を賞賛!!地下の新ステージや幻の4階設定は詰めの甘さが諸に露呈!!虐め問題が解決しない本質的な風刺のバグも!!実にVERY EASYな映画だ..!!!!!!!結論を先に申せば,青鬼側より人間側の右往左往を通じ無様に逃げ惑う幼稚な逃亡劇が見事に穴だらけで理屈的にも腑に落とされない映画ではあった..低予算かつワンシチュエーション物。指定された空間内で人物達が脱出を試み果敢に逃げ惑う極限状態の悲惨な形相を現代的な親近感を交え映し出す映画としては(意外にも)楽しめた..あと劇中で重大な"蝶"のメタファーは"浮遊者"や"突然変異"を指しキリスト教では"復活"を象徴しこの映画と密接な関連性を帯びているように感じた。ただ,蝶の暗喩で序盤からイキナリ伏線を出し問題提起した迄はいいが後は永遠に放り投げ状態で観客任せな問題も映画的に頂けない。

話も超EASY。都市伝説的な行方不明事件の噂(奇妙な蝶)に導かれ"ジェイルハウス"という洋館を訪れた無知な若者達が屋敷に住み憑く不気味な"青鬼"という正体不明な怪物を相手に逃げ惑い必死の生還を試みる,ザックり表現し挑戦者側の成長譚or友情秘話な青臭い題材。更に踏み込めば典型的な暴力や階級差別など幼稚な満足感でしか生存意義を生み出せない悪者が更生し現実のありがたみを改め肌で実感し根底から成長を遂げる悪者の更生譚でもあった。

まぁ友情秘話を鈍重なBGMを響かせアツく語り掛け観客に微量な感動を煽る青臭い観念的な部分は皆様の最良な感想にお任せし...要はこの映画!1番の肝は大きく分類し3点!!"屋敷(架空)側と現実側がリンクし他層構造な入口を併せ持つパラレル構造"や"脱出通路の幻影的な特殊性"or"脱出に必要な鍵の存在"。で,前者は正直,醜態。要は元々"青鬼"が住み憑く屋敷のゲーム(構造)自体を自主製作で創り上げた張本人シュンが現実側の自室で遠隔的なPC画面を通じ一部始終を平祐奈演じる委員長と呆然と目撃し一大事を迫られる不可逆な時が永遠と過ぎ去ってしまう..正直終盤までこの2人が屋敷に出向かず救済行動に移さない理由が謎過ぎた..静寂な雰囲気で見守る動静の対比を画面比率で演出するにも背景で行なわれている悲惨な事態と核心部の機微の描き方が対極も対極で謎。そもそもの立脚点に返すば屋敷の特殊な構造は勿論,鍵の在処や青鬼の存在など論理的な説明を全て省略し最後の最後までゲームの攻略法を隠すなら結果的にシュンが1番罪深いではないか...

あと重要人物の扱い方が尺70分でキャラ造形を掘り下げる時間が足りなかったのか次々と大半は序盤で殺され終盤に向けドンドン緊迫度が削ぎ落とされる作風と展開の擦れ違う違和感も敗因を担う悲惨な箇所に感じた。本作って地下の新ステージに新種のフワッティーも交え比重を置いていなかったのか..あと個体が増殖し連結して巨大化を果たし効力を発揮って進化構造は全然旧式だっていう..この映画を扱うにあたり前作の須賀健太&AKB入山杏奈が主演を張った昨年公開『青鬼(2014年)』を一応目を通し監視し観た結果,大体前作と役割を担う人物の立ち位置が今回の続編ともほぼ同一で似通うデジャヴュ的な設定。構成が進化しても肝心の脚本が進化してないなと遺憾に思いました。

幻の4階設定も要は致命的なバグが1箇所屋敷内のどこかに設置されそのバグが発動すればゲームがリセットされ脱出できる,という何%の確率で逃げ道を見つけ出せる次元の話をしているのか..あとプレイヤーが死ねばサブキャラも同じくして死ぬ設定ではなかったのか..全体的に終盤に向け序盤に掲げたいくつかの制約が途端に効力を失い事無きを得る違和感は否めなかった..クライマックスで青鬼と激怒するβとαの扉周りの場面も2,3歩踏み込む意外性がもうワンチャンほしかった。事態が進むに連れバージョンダウンする感はここでも同様。序盤でヒロシがつまづき足を怪我し終盤で大失速する場面も発症のタイミングが性急過ぎてどの地点から症状が悪化しどの地点であそこ迄動けない状態に陥ったのかエクスキューズが過不足すぎて別の意図で呆気に取られた。最後の主役交代も映画的に感動方向へ舵を振り過ぎましたかね..アレは直球に主役が脱出を遂げる正当なバランスで全然事足りた。むしろアイツがアレを成し遂げた事は映画構造的に不快で他ならない。

他にもタケシがスマホを動画モードに変換しPOV技法を取る外国映画の真似事を図る"ごっこ"遊びも中途半端で首を捻り,ミカが階段を駆け下りる際の『サイコ』調なダサい演出も画角的な押し付け過剰,幻の4階に繋がる地下のカキ箱もあんな目立つ場所に固定し形態的には全てEASYモードでしたね。青色のペンキを身体に塗り青鬼と同調する場面がアイディア性に飛びまだ楽しめた感じです。

結局は理屈抜きで疾走感ある逃亡劇を極限状態な形相で楽しむ分には最適な1本かな。カギ箱を反対側に設置すれば..なロジックの安易さは本気でチープ過ぎて苦笑した。仲間同士の信じる意味や協調し事態を共に切磋琢磨し脱する万人に開かれたテーマ性なので観る側を選ばずサクッと堪能できる映画であった。1番絵的に充実した場面は新ステージの地下。直線的な見渡しが透き通り全体的に地理感を出せばあのロケーション設定は最高だった。結局,最後に1つ疑問を呈せばシュン&委員長とヒロシがとある"あの場面"で同じ階層内に佇んでいるのは何故...何か劇中で詳しいロジック説明がありましたかね..あと記憶が残っている側と残っていない側の微妙な違和感も..つまり,どうでもいい箇所をオーバアクトに魅せ肝心な部分を最低限ボヤかす尽く論理性が排除されご都合主義が耐えれる方はブルーべリー色の怪物が暴れ狂う70分間の疑似体験に是非。前作よりは十分楽しめた!お勧めです。※エンドロール中も映像あり。
【結論:幻の4階を地理的に掘り下げ希望&次作はHARDモードで製作希望】