みほみほ

国際市場で逢いましょうのみほみほのレビュー・感想・評価

国際市場で逢いましょう(2014年製作の映画)
4.4
激動の時代に生まれ、父との約束を胸に、家族を守り続けた男の物語。

この作品を観る前と後とでは、すぐに怒鳴る年配の方への感じ方や、価値観までもが変わってしまいそうなくらい震えた。映画を通して人の人生を見て 心を躍動させる事以上に幸せな事はないと言い切れるくらいに素晴らしかった。

またもや凄い韓国映画に出逢えた。タイトルに込められた意味…。本当に観れてよかった。ダルスが出てなければ、借りる事もなかった。

ありがとう、ダルス。ユンホまで出てきて、びっくりしたのと同時に、韓国がより近く、そして遠く感じた。

面白いとかそういう類ではなく、家族間で主人公と同じタイプの役回りになってしまう人には 特に辛い映画かもしれない。

時代も違うから現実味がないかもしれないけど、現代を生き抜く自分達にも重ねて考えられる立場の見せ方が上手くて伝わりやすい。

男性と女性によっても、性格によっても、感じ方は変わるかもしれないけど、主人公の妹の自分勝手なわがまま具合に腹を立てたり、頭が良くて (その学費の為に、兄が辛い辛い出稼ぎへ) 、結婚式でもいいとこ取りをしてる弟にも複雑な思いを抱いた。(勿論いい大学出て出世して、兄貴孝行したんだよな?!)

度重なる主人公の自己犠牲に、もっと自分の事を考えて!誰の人生なの?人生の主役はあなたよ!みたいな事を言った奥さんにも、女性であるが故に強烈な感情移入をしたので、このくだりは本当に辛かった。

結婚後に一気に振り回されてて、奥さんが不憫だったけど、いつでも心配して愛していて、最初も最後も二人でフォレスト・ガンプみたいに語り合ってて、微笑ましかった。

何故 主人公はここまでするのかと、途中から私もイライラしてきたのだが、犠牲の美徳とかそんな簡単な事ではなくて、男が何の為に耐え続けたのかを知った時に、崩壊するように泣いた。

頑張ったね。辛かったね。

年長者が自分になる恐怖ってどんなだろう。とはいえ 私自身も両親が既に他界してるので、自分の弱みを見せられる人は限られているので、そんな恐怖にも心がどっぷりとはまってしまった。

他の方も書いてる通り、確かに泣かせようとする空気も強い。だけど、映画を観て、こんな有意義な事はある?っていうくらい人生を見させられるから、ちょっと迷って見失ってる人が居たら、この映画をオススメしたい。

自分の人生や悩みに重ねた時に、胸がいっぱいになるかもしれないし、人によってはならないかもしれない。でも現代に生まれて良かったと思えるし、主人公がこんな思いをするのが自分の子供じゃなく、自分で良かったという言葉に ジーンときた。

本当に 家族想いの優しい人だった。
頑固おやじになる前には度重なる苦労と苦悩の日々があった事を忘れてはならない。


韓国のおばちゃんのオーバーな泣き方や悲しみ方が昔から苦手だったけど、こういった映画を観ると、感情を前へ前へ発信するアクティブな韓国人の事も少し理解できて、少しオーバーなおばちゃんへの苦手意識が薄まった気もする。それはより身近に感じられたからだと思う。

人生において大切な事が沢山詰まっていて、間接的にそのエキスを吸収出来る映画だった。

最後に主人公がその重荷を下ろした時、ホッと胸をなでおろすと同時に、最後まで家族の生死を信じ続けて諦めなかった信念にはもう 言葉も出ない。

老人メイクがちょっと不自然なのが勿体なかったけど、子役の泣き方が凄くてすぐに泣いてしまう。

そして最大の魅力は、ダルス。
登場まで30分もかかったけど、以降頻繁に出てきてくれるので助かった。

辛い時、いつもダルスが主人公のそばに居た。(というか道連れ(笑))
いい友情だなぁ…

ドイツでは軽いリーゼント、ベトナムは何故か軽いアフロ…(笑)

西洋の女に憧れてドイツについていったくせに、初体験をアクティブに奪われて、シクシク泣きながら 母ちゃん!って言ってみたり、主人公とダルスが以外にうぶでなおのこと可愛かった。

でもなんか 初めて異性と手を繋ぐ事ができて、冷静を保ちつつも、姿が見えなくなった後に飛び上がるみたいなのは私も経験あるから、楽しくなっちゃった♫

この映画でダルスのあの存在がアクセントになって、感動に寄り過ぎない緩急バランスが保てていたと思う。

ダルスとユンホの共演には胸が熱くなった。スター×スター は眩しかった。

負けじと主人公も素敵なかっこよさのある人だったけど、若い時の貴乃花にしか見えなくて凛々しい。

結婚式やパーティなどで見せる韓国乗りについて行けない一幕もありましたが、全体的に素晴らしく感無量でございました。

韓国映画にどっぷりで幸せ。
みほみほ

みほみほ