ラッキーマウンテン

美女と野獣のラッキーマウンテンのネタバレレビュー・内容・結末

美女と野獣(2017年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

アニメ版のオタクで、ベルの実写はエマ・ワトソンではない!派だからMX4Dの特盛りで見た。
批判するなら見ないとね。作品自体は好きだし。
で、見た結果一言で表すと、アニメ版が俳句で、実写版はその俳句の論文という感じ。
迷惑なオタクなのでアニメ版と比較してのレビューです。

基本的には忠実に再現していて、アニメ版で「なんでそうなった?」と思う部分は上手く補足されている。
特にベルの心情面については、恋に落ちるまでのプロセスがアニメでは描写しきれてなかったけど、ちょっとしたやり取りを追加することでよりリアルな女心を表現してると思う。
特にベルはIQの高い女だからね。知的レベルが釣り合ったほうが良いんだよね。ちょっと生々しいね…。
あと、花びらが落ちると城が崩れたりみんなの動きが鈍くなる表現はナイスアシストだし、ラスト手前で一瞬バッドエンドを加えたのも絵として美しかった。

実写ならではの見所!と思ったのは2人でスープを皿から直接飲むシーン。
結構がっつり音を立てて啜っていて、下品な食べ方なのが強調されていて良かった。
あとダンスはガチな社交ダンスっぽくて、一体どうやって田舎娘が覚えたんだ?通信教育かYouTubeか?と思った。
まぁ直後にベルがパパ上から教わったって白状するんだけどね。

ミュージカル部分はアニメ版を尊重してるのがよくわかった。90〜120%は再現できていたと思う。
アニメと大きく違うのは城内での家来VS村民でBe Our GuestアレンジBGMが流れない点。
ここは大きく好みが分かれると思うけど、私はあのBGMはコミカルすぎるのでは…と内心思っていたのでそこまで変には思わなかった。

ただ、全体的に描写が丁寧すぎたり蛇足になりかけてる部分や、過剰な追加設定も多い。
やっぱり一番必要なかったのは民族やLGBT要素。
特に前者に関しては、ペストマスクという歴史をダイレクトに感じさせるモチーフを出したせいでリアリティが薄れていると思う。
アニメ版では時代設定がぼかされてるけど、あのマスクを出したら観客の脳内で時代が中世前後に固定されて、異民族が馴染んでることに対して違和感を覚えるだけなんじゃないのかな。考えすぎかな。
ル・フゥのゲイ設定は無理矢理入れた割には薄味でまだ良かったかな…勿論不必要だったけど…。

あと大きな改変としては魔女の魅せ方、城側と村民との関係性、ベルの母親の話かな。
別に入れても良いけど、カットしても良かったんじゃないかな。
母親の記憶を辿るためのあのアイテムが出てきたときは「魔女って実はドラ◯もんなんじゃないの?」と思った。


最後に、これだけは断じて許さん!!という点を2つ。
まず、ベルの田舎娘設定を強調したいならアクセサリーは外しなさい!
右手小指の指輪は彼氏いないアピールなんだろうけど、ベルにそういうアピールはいりませんから!彼女は本の虫で現実見えてないタイプですから!!
で次は、いっちばん大事なラストシーン。
どーーーしてそこでドレスの色を変えたんだ!!!!!
冒頭が白いドレスで綺麗だったから最後もそれをやりたかったのかもしれないけど、それなら王子も白にしろ!!
変わり者で染まらないベルがそれ故に愛と幸福を掴む物語なんだから、周りが白なら余計他の色にしなくちゃいけないんじゃないの?!?!
ベルのアイコンとも言える黄色いドレスから変更するからには、それ相応の説得力を持ってくれないとオタクは納得しません!!!!

と、まぁ良くも悪くも足し算の多い実写化だったと思う。
我々が想像力で補ってきた部分を上手く補完してくれたけど、別に求めてないオマケも付いてきた。
それでもやはり美術や背景のクオリティは最高峰だから、アニメ版が好きな人は一見の価値ありかと。

ちなみにMX4Dは結構駆使されてたイメージ。でもこれも正直、あってもなくても良いよね…。まぁ稼げるならいいのかな。おわり