えんさん

美女と野獣のえんさんのレビュー・感想・評価

美女と野獣(2017年製作の映画)
2.5

昔、昔のあるところ。ひとりの美しい王子が年老いた老婆に化けていた魔女に失礼な振る舞いをしてしまったことから、魔女に呪いをかけられ醜い野獣に変えられてしまった。同じく魔女に様々な家具や調度品に変えられてしまった家来とともに、野獣は霧深い城で孤独に暮らしていた。そんな寂しい城に1人の行商人が迷い込む。行方不明になった行商人である父を探しに、美しく聡明な女性ベルもやがて城にやってくるのだが、巨大な野獣に逆に囚われの身となっていくのだが。。1991年製作で惹かれあう1匹の野獣と1人の女性が惹かれ合う有名な同名ディズニーアニメを「ドリームガールズ」のビル・コンドン監督が「ハリー・ポッター」シリーズのエマ・ワトソン主演で実写映画化した作品。

あまりに有名な同名ディズニーアニメですが、僕はだいぶ前に確かビデオか何かで1回観たくらい。それよりも有名で何回も聴くのが、この映画の主題歌。アニメ版はセリーヌ・ディオンとピーポ・ブライソンですが、作品以上にこの主題歌が独り歩きしているように思います。セリーヌ版の主題歌も本作のエンドクレジットで流れますが、今回の実写版の主題歌はアリアナ・グランデとジョン・レジェントの2人。ディズニー作品ということで基本はミュージカルであり、この有名な主題歌以外にも様々な曲を楽しむことができます。

でも、評価が難しいなと思うのが、本作や少し前に公開された「シンデレラ」などの作品はターゲットが女性ということもあり、女性目線じゃないと正当な評価ができないのじゃないかと思うこと。僕は「ロード・オブ・ザ・リング」のような男勝りなファンタジーは高評価しちゃうんですけど、ちょっとこうしたお姫様中心の物語は(よくできているとは思うものの)やはりちょっと性に合わないかなと思ってしまいます。それでもアニメで観た世界観が実写でも全く壊れていないし、野獣のダンディズムというのは普通に野獣の姿のほうがカッコイイんじゃないかと思うくらい。ラストで人間に戻った姿になってメデタシメデタシなのはいいんですが、家来も含めて、人間の姿になると余計にひ弱さが目立ってしまうのが残念なところに感じてしまうのです(笑)。それでも主演のエマ・ワトソンだけでなく、イアン・マッケランやエマ・トンプソンなどのベテラン俳優が楽しく演じていることに、こちらまでホッコリした気分にさせられるのです。

そういうことを抜きにしても、ベルが丘の上にて歌うシーンや霧に紛れる城下町などの描写が若干作り物感が漂いすぎるのはどうなんでしょうかね。CGが中心になるのはしょうがないんですが、ブルーバックでの演技だけではなく、もうちょっとロケシーンを組み入れて空間の突き抜ける感を出してほしかったところです。