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ファンタスティック・フォーのTEPPEIのレビュー・感想・評価

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久々に星ひとつもあげられない。まずこの世にはたまにハリウッドが「未完成」にも関わらず、世に出してしまうことがある。かつてフォックスが「バビロンAD」たるものを監督と衝突して結果、未完成なのに公開するという暴挙に出た。この「ファンタスティック・フォー」は公開前から異例の決定が多かった。例に出すと、マーベル作品の映画化権利をマーベルスタジオに返すとドル箱シリーズを失うソニーが食いつなぎで契約更新で作ったのが「アメイジング・スパイダーマン」だった。結局2作つくって、なんかもう製作中止になってるけど。「ファンタスティック・フォー」もそんな状態で本作の公開前には続編製作もアナウンスするという…しかも監督には「クロニクル」の新鋭ジョシュ・トランクを迎え、公開された予告編からしてついにファンは不安を募らせて複雑になる。フォックスとの確執を述べながら評価したい。あるニュースでさらに不安が募る。「スター・ウォーズ」のスピンオフ作品の監督を降板させられたジョシュ・トランクはSNSでこのファンタスティック・フォーはクソだ!俺のやつの方がファンタスティックだぜとぬかし、フォックスとの不仲を明らかにした。編集権のないトランクは予算カット、脚本変更、さらに元々性格がアレなので撮影現場ではマイルズ・テラーと殴り合いをするまでにいたった。完全にスネたトランクはやっつけ仕事に製作を進め、いざ出来た本編は全然ファンタスティックじゃなかった。本人いわく、ドラマパートやファンタスティック・カーの描写が削られたらしい。実際、メイキングにもファンタスティック・カーは出てきてる。何が問題って予告編に出てきた戦闘シーンやドラマパートが一切出てこないことや、たとえトランクが言う真の完成版でも大して面白くなかった気がする。「トーン」が合わな過ぎなのだ。元々はシリアスだったバットマンを1時間近くかけたにも関わらず誕生秘話で深いドラマを生んだクリストファー・ノーランはやっぱりすごい。「ファンタスティック・フォー」は4人が特殊能力を得るまで1時間くらいかかっているのに、キャラクター描写も浅いので飽きる。あとヴィクターのキャラ設定も鼻につくし、全体的に政府の連中がクソ過ぎて全然楽しくない。あと音楽がなさ過ぎて余計トーンが暗い。正直以前のファンタスティック・フォー2作品も酷かったが、それを上回る酷さである。
異形の者としての「葛藤」がなさ過ぎてテーマもクソもない映像が延々と続くばかりか、いかにも代打で監督変わったかのように画づくりが異なったり、すごいことになってる。先に言っておくと、戦闘シーンたるものは10分あるかないかである。敵役のDr.ドュームは別にドクターでもなければ、唐突に地球に帰ってきて唐突に地球を滅ぼすとかぬかすので訳がわからない。しかもコイツの能力もイマイチよく分からないし、人間を即殺できて、ファンタスティック・フォーにはかすり傷が精一杯という何とも弱くて魅力のない悪役か。
ロケーションは研究施設か異世界の2つなので終始暗いし、そもそもこのシリアス風潮が全く合ってない。ぶっちゃけキャスティングは幾分前よりマシだが、すっげえ適当に演じているのでもう何か観てて嫌だ。
総評として、映画を愚弄するとはこういう事ではないかと言える。本気でハリウッドがこれを世に出そうものなら、やはり途中で公式に監督交代や製作中止もアリだったのではないか。どちらにせよアメリカで9割以上の人間が本作をクソと判断したらしく、アメリカの友人も罵詈雑言浴びせてた。ついでに言うと、やはり続編は製作中止になった。
最後に唐突に俺らファンタスティックだよなとぬかす4人に寒気もした。そして酔った勢いで何の葛藤もなく、責任感のない連中はやっぱりヒーローには見えないのが致命的だった。やっぱりヒーローは闘う理由があってナンボだろう。
申し訳ないが、0点。
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