GreenT

クリミナル・タウンのGreenTのレビュー・感想・評価

クリミナル・タウン(2017年製作の映画)
1.5
アンセル・エルゴートとクロエ・グレース・モレッツのファンの人にはたまらない映画だと思います。特にクロエ・グレース・モレッツは、私が観た中では一番好感度高いキャラでした。2人のキュートなカップル振りにケミストリーがある。

しかし、私はビックリしました。最近の高校生って、あんなにドライなの?2人は友達なんだけど、フィービー(クロエ)は、「大学行く前に経験しておきたい」とか言って、セックスする。する時もアディソン(アンセル)が、「キスした方がいいのかな?する?」みたいな。相手に訊けるなんて、落ち着いてるなあ。

高校生の時の初体験って、すごい好きか、すごいやりたいか、なんらかの感情の高ぶりがないと、恥ずかしくてできなかったですよ。少なくとも「この人を好きなんだ」って思い込むか自分を騙さないと。「はい、コンドーム」って渡したり、キスも前戯もそこそこに挿入!みたいなのがにわかに信じがたかった。

しかも、2回目をやろう、と誘うとフィービーは、「あなたの頭が隣の枕にある姿を想像した」とかなんとか言って、「ロマンチックに考えすぎね」と言って、2人でハハハハハと笑う。こんな冷静に自分の性欲を分析するのか、イマドキの高校生は?!それともこれは若者の気持ちを忘れてしまった鈍感な大人の創作なのか?!

監督・脚本のサーシャ・ガヴァシ・・・どっかで聞いたことあるなあ〜と思ったら、『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』の監督さんじゃないですか!へえ〜、こんな仕事するようになったんだ!あのドキュメンタリーはめちゃくちゃ面白かったからなあ。

しかしこの映画は、オープニングのアディソンのモノローグを聞いただけでドン引きしました。

My mother died six months ago today. At the hospital, they told us she'd had an aneurysm. There was nothing I could do for her. I guess I've gotten pretty good at pretending to be okay.

まず、「6ヶ月前の今日死んだ」って、おかしいと思いません?「1年前の今日」ならわかるけど。「病院で動脈瘤(aneurysm)って言われた」と言っても、どんな病気なのかわからないので「?」ってなっちゃう。交通事故とか、わかりやすい方が感情移入しやすい。で、最後に「大丈夫なふりをするのが得意になったと思う」みたいな、自己憐憫がウザい。

シカゴ大学への願書?を、今はネットで出せるのに、わざわざ郵便で送るという「どーでもいいことを劇的にドラマチックにするのが好き」っていうのがこの映画そのものを表していると思った。

「ビデオ・ダイアリー」とか言って、しょっちゅうビデオ撮っているんだけど、それがなんかの伏線になっているとか、全くない。ただ、昔ながらのビデオ・カメラで撮っていて、フィルムを買うのが大変。そういえば、ページャーも使ってたな。あの設定がなんでだかさっぱり頭に入ってこなかった。

友達がバイトするコーヒー・ショップでのシーンもすごい好きじゃない。友達がバイトしているからと言って、お金を払わないで、「常連だよ、俺は」みたいに振る舞い、帰る時にフィービーが払う、みたいな。ヒモ男かよ!

ケヴィンという友達との関係も良くわからない。一緒に遊んでいるところとか、同じクラスに座っている場面もないので、「コーヒー屋さんの従業員と客」的な関係にしか見えないので、この子の死に対して「みんな気にしない!」みたいに大騒ぎするのが、独りよがりに見える。

あとでケヴィンの両親に会う時も、初めて会うみたいだったし、良い友達だったっていう割には、ケヴィンのことを全然知らないんじゃん、と思った。ちなみにこのケヴィンの両親が一番リアルなキャラだった。

アディソンはお父さんと2人暮らし、フィービーはお母さんと2人暮らしで、親がやたらと絡んでくる割には、ストーリーには全く関係ないのもモヤモヤする。言ったら、アディソンのお母さんが亡くなっていることもあんまりストーリーに関係ないと思うのだが・・・。

このキュートな2人の恋の行方にフォーカスした方が面白かったんじゃないでしょうか。ちなみに原題『November Criminals』の意味はなんなんだ?なんで11月なんだ?11月に起こったからってだけ?

一応、サスペンスのくくりになっているので、ネタバレにならないよう、コメント欄に隠します。
GreenT

GreenT