バナバナ

リトル・ボーイ 小さなボクと戦争のバナバナのレビュー・感想・評価

4.0
第二次世界大戦中のアメリカの西海岸に、8歳になってもずっと身長が伸びず、いじめっ子たちから“リトルボーイ”とあだ名を付けられているペッパーという少年がいた。

孤独なペッパーと一緒に妄想の世界を楽しんでくれた最愛の父が、兄の代わりに徴兵されることになる。
地元には橋本という日系人が住んでいて、ペッパーも日本と戦っている父の為に、最初は橋本に敵意を抱いていたのだが、司教の差し金で橋本と付き合う内に、彼の優しい人柄が分かってくる。

小さな田舎町で、子供内のいじめだけではなく、善良で何もしていない橋本も、町の大人達から疎外されている。
司教はペッパーに「君の祈りの力で色々なものを動かし、希望が叶うんだよ」と励まし、それを心配した橋本は安易な希望は持たない方がよいと諫めたのだが、純真なペッパーは祈る事を止めない。
そしてある事件で自信を持ったペッパーは、町の広場がある太平洋の崖から、毎日日本に念を送るようになるのだが、そこに“リトルボーイ”が絡んできて…。

ペッパーが望んでいたのは、一つの街を破壊する事ではなかった。
ただ、父に帰ってきてほしかっただけなのに…。
街中の大人達の喧騒を他所に、小さな少年の希望がやがて絶望に変わる。
こうやって少年はだんだん世知辛い大人になっていくのか、と思っていたら…。

小規模な作品なんだけど、少年を中心に、小さな街にも起こる差別や憎しみや希望を重くならない様に見せていて、見やすい作品でした。
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