西村大樹

悲しみの忘れ方 DOCUMENTARY of 乃木坂46の西村大樹のレビュー・感想・評価

3.5
劇場公開されたとし、AKBをはじめとする当時あった4つの48グループと、公式ライバルという扱いの乃木坂46のドキュメンタリー映画が計5タイトル公開された。ドルヲタであり、映画……特にドキュメンタリー映画のファンである自分は、全作を映画館で観た。そして今日、映画館で観て以来ネット配信で観直した。
印象は公開時のものと変わらなかった。
ドキュメンタリーにおいて一番大切なのは、撮影者と被写体の距離感だと思う。寄り添いながらも、どこかで退いて厳しい視線も向けなければならない。被写体がアイドルであったとしても、ファンの存在もあり難しいだろうが守らなければならない点であろう。その距離感を保つため、本作はナレーション原稿を彼女たちの親に託した。それが、本作をアイドルドキュメンタリーとしての枠をギリギリ乗り越えることになっている。
ごく普通の生活を歩んでいた自分の娘。ある日突然、国民的なアイドルになる。その戸惑いが手紙から読み取れ、さらに芸能界に入ることで親の思っていたより早く大人になってしまった娘と離れることへの悲しみ……手紙により、娘と親との物語へと本作はなっている。
もちろん、乃木坂メンバーたちのインタビューもあり、そこから突然芸能界に入ったために生じた悩みなども語られる。

アイドルのドキュメンタリー……というよりも、思ってもいなかった人生へと足を踏み入れた人たちと、その周辺の人たちのドキュメンタリーとして観てほしい。
西村大樹

西村大樹