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スティーブ・ジョブズのレクのレビュー・感想・評価

スティーブ・ジョブズ(2015年製作の映画)
3.5
ジョブズの半生を描いた物語が本筋ですが、内容は"人を魅了するスピーチ"とはかけ離れたジョブズの人間性を表した舞台裏がメイン。
成功と失敗、仕事と家庭、家族愛と傲慢さ、これらの対比要素をドキュメンタリーというか舞台劇のように3部構成で上手く演出されている。

84年のアップル社初のパーソナル・コンピュータ「マッキントッシュ(マック)」
88年の「NeXTキューブ」
98年の「iMac」
3つの新作発表会のプレゼンテーション開始直前の舞台裏を描く大胆な構成。
この3つの舞台裏を映像化するにあたり、それぞれの時代の空気感を出すために撮影フォーマットを16mm、35mm、デジタルフォーマットの3種類で表しています。

そこでは終始彼の口論とも取れる会話劇を見ているようで、その返し一つ一つテンポ良く展開される。
主演のマイケル・ファスベンダーの演技力あってのものだが、周りを固める役者さんたちの演技力も相まって、彼のオーラに圧倒されました。

仕事と家庭、この両立っていうのは簡単にはいかないもの。
知性とカリスマ性を持ち合わせたジョブズもまた仕事と家庭の両立に苦労している。
ここに自分の知らないジョブズの父親としての顔が垣間見えた。

ダニー・ボイル監督の凄いところはジョブズの生き方を見せる伝記映画ではなく、ジョブズの本質を映し出した伝記映画を作ったことである。
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