バン!バン!という、乾いた銃声がいつまでも耳に残るミニマルなデンマーク製西部劇。この手の映画をあまり見ないので、私にとってはとても新鮮だった。特に、ヨーロッパの様々な国から新大陸へやってきて、アメリカ人として馴染んでいく過程にある人々の様子が面白い。例えば、冒頭の駅馬車でのやりとりは印象的。共通語として英語を話しながら、家族同士では母国語で話し合う些細な場面だが、そこにはアメリカ社会の縮図があるようだ。また、弱い者が最初に死んでいく、そういう容赦ない弱肉強食の世界が、あらゆる権利が叫ばれる現代の社会とは真逆で血が凍る。こうした細部のリアリティがとてもヨーロッパ的な映画だと思った。