にゃんちゅう

トレジャーハンター・クミコのにゃんちゅうのレビュー・感想・評価

3.8
2001年にミネソタ州で実際に起きた日本人女性凍死事件を基にした本作。
彼氏なし、仕事も遅刻ぎみ、同僚との関係も悪い窓際OLクミコは、上司から退職のプレッシャーをかけられる日々をやり過ごしていた。目下の興味は、旅先で偶然見つけた一本のビデオテープ、映画『ファーゴ』。冒頭の「これは実話です。」という煽り文句を本気にしたクミコは、ラストの男が雪山に大量の札束が入ったトランクを埋めるシーンから、宝のありかを探し出そうとする。会社のクレジットガードを持ち出し、トレジャーハントに向かうクミコだったが…?
見どころ、というか好みの分かれどころは主人公のクミコ(菊地凛子)の性格だと思う。突拍子も無いんだ、これが!
フツー、寿退社促されてパワハラっぽいことされてたら「クミコ、かわいそうだな…」て同情の気持ちがわくと思うんだけど、これが全然わかない。上司のお茶に唾いれたり、高校時代の同級生の子供置き去りにして喫茶店から出て行ったり、超ぶっ飛んでるんだよね。
トレジャーハントに出かけた先でも、「そんなものは作り話だよ」と言われるが聞く耳持たず。挙句物は盗むわ、タクシー代払わず逃亡するわでマイロードを突っ走る。
でもま、ちょっとわかんなくも無い。現実の自分がどん詰まっちゃった時って、ちょっと夢見たくなるよね。宝クジ当てて仕事しなくて済む夢とか、いい企業に転職した自分妄想するとか(笑
クミコはあまりにもお宝に偏執しすぎて、自己の殻厚くして外の声が聞こえなくなっちゃってるんだけど、なーんか憎めないんだよね。
主人公に共感したい人は「なんじゃこりゃ」な映画かも。

最後、唯一の友達ウサギのブンゾウと雪原を進んでいくシーンはとてもいいなと思いました◎
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