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恐るべき子供たちのpikaのレビュー・感想・評価

恐るべき子供たち(1950年製作の映画)
4.5
軽妙で刺激に満ちたドラマに、目が醒めるような鮮烈なカメラワークと、刻印のように刻み込まれる印象的な音楽、コクトーによる高揚を煽るような独特で詩的なナレーションや、それら全てを互いに高め合いこれ以上ないほど見事に昇華した演出など、全てが夢物語であったかのように幻想的な寓話たらしめる運命の悲劇が心を揺さぶり突き刺さる、衝撃的な傑作!

調べなくても撮影中にコクトーがウロウロして口を出していたと想像できるくらいコクトー印があちこちに散見されていてニヤニヤしつつも、コクトーの幻想的なセンスを巧みに用いて作品の糧にし魅力にまで仕上げてしまうメルヴィルの凄さ!お疲れ様っす!

処女作「海の沈黙」にて言葉を排した演技で魅せたニコール・ステファーヌの、鳴り止まぬきめ細やかな旋律のような弾丸トークと、こんなに喋ってんのに抱えた一物は目で語ってやる!と言わんばかりな目力やラストのカタルシス全てを担う圧巻の演技がもう本当に素晴らしい!

ドラマの八割は姉弟の少々行き過ぎた愛を、閉鎖的で子供時代にしか得られない多幸感に満ちた展開と情景で描いていて、若干の野望ったさはあるけれどもそれを補うどころか高めるレベルの演技やカメラや演出やナレーションの総合芸術に酔いしれ、そして迎えるラストの「待ってました」のグランドフィナーレには感極まって胸がいっぱいになる面白さだった。

原作は未読だし背景とかよくわからないけど、何が何でも映画として傑作という言葉以外には形容できないパワーに満ちている作品だった。最高!
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