LEONkei

恐るべき子供たちのLEONkeiのレビュー・感想・評価

恐るべき子供たち(1950年製作の映画)
3.7
夢想による恍惚に結ばれた姉弟は、異常なる愛情の世界の渦に堕ちる。

〝アラビアのどんな香水でも、この手を清めることなどできない〟

姉〝エリザベト〟が鏡の前で自らに問いかけるその言葉に、異常なる愛を確信し理性崩壊の覚悟に背筋が凍る。



作家・演出家・脚本家・演劇・振付け師…、多彩なマルチ芸術家〝ジャン・コクトー〟の原作を映画化し、自らナレーションで姉〝エリザベト〟と弟〝ポール〟の関係性を語っていく。



子供が思春期を向かえ現実社会に触れる頃、これまでの理想や夢とのギャップに戸惑いを見せる時期が必ずある。

その現実を受け入れられずココロ幼く未熟な故に、現実逃避した〝どこか他に理想の世界がある〟と錯覚し混乱の渦に巻き込まれる。

『あの世界へ行きたい…』と子供(姉弟)たちの揺れ動くココロを、ジャン・コクトーが倫理観を越え恐ろしい悪夢に描いている。

何歳になっても理想や夢を追い求める事は悪くはないが、現実も見なければ未熟な〝子供〟が駄々を仔ねているにすぎない。

自らを見つめ問いて現実を理解する事が、寧ろ理想や夢に限りなく近づくだろう..★,
LEONkei

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