新境地をひらくヘップバーンの魅惑。
フレデリック・ノットによる同名戯曲(原題:Wait Until Dark)を、テレンス・ヤング監督、オードリー・ヘプバーン主演により映像化したサスペンス。
見知らぬ女性から人形を預けられた写真家サムと、それによって犯罪グループのやりとりに巻き込まれる盲目の妻スージーの姿を描く。
スージーをヘプバーン、サムをエフレム・ジンバリスト・Jr.、犯罪グループをアラン・ラーキン、リチャード・クレンナ、ジャック・ウェストンが演じているが、誰もがその名を知るであろうヘプバーンの演技を観るのは、恥ずかしながらこれが初。
物語は、ほぼサムの家を舞台とするため、ワンシチュエーションものとして展開。
何より盲目役を演じたヘプバーンの演技と、犯罪グループのリーダー役であるラーキンの怪演が、しっかり物語を引っ張ってくれているとともに、盲目という設定が活かされた脚本や演出も素晴らしいもの。
実は、その邦題から、マリリン・モンロー主演『お熱いのがお好き』のようなラブ・コメディを想像し、てっきりヘプバーンが男を夜まで焦らすような話かと思い込み、ずっと敬遠してきたのだが、実はゴリゴリのサスペンスであったため、そのギャップにビックリした次第。
作り込まれたサスペンスと、ロマンスではなく、そのサスペンス要素を示した邦題の意味が観終わった後にジワジワくるとともに、先日観たダスティン・ホフマン主演『マラソンマン』同様、タイトルから内容を決めつけるのは良くないことを悟った一作。
たしかに疑問はある。