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花火のBONのレビュー・感想・評価

花火(1947年製作の映画)
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アンダーグラウンド映画の系譜において伝説的な存在の映像作家ケネス・アンガーの記念碑的作品集が収録された、『ケネス・アンガー マジック・ランタン・サイクル vol1』のVHSを渋谷フィルムコレクションにてレンタル。

デレク・ジャーマン、ジャン・コクトー、ミック・ジャガー、デヴィッド・リンチ、デニス・ホッパー、ガス・ヴァン・サント、マーティン・スコセッシ他…など、数多くの映画監督やクリエイターに今もなお与え続けるケネス・アンガー。

手がけた映像は精神世界を投影した難解な作品が多く、内容のほとんどは神秘主義、悪魔主義をテーマに描かれる。そんな呪術的イメージが凝縮されていた映像。

本作は現存するアンガー作品で過激かつ最も古いゲイ映画の古典作品。アンガーが17歳の時、両親の留守中に自宅で三晩で作られた。主演男優はアンガー自身。タイトルは水兵の局部が打ち上げ花火に変わるクライマックスシーンに由来している。このシーンは笑ぅあ。水兵の一群に叩きのめされて腹わたが飛び出ることを夢想し、「花火で私は、夢の打ち上げ花火をすべて放ったんだ」と語っている。

ゲイ・ポルノとして扱われて上映され、アンガーはわいせつ容疑で逮捕された。ジャン・コクトーからは、「魂の急所にすばやく触れる映画。」と、好意的なコメントで賞賛された。新しいものが世に出ると、批判されてしまうのが世の常なのかな。
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