シュトルム凸映画鑑賞記録用改め

エンドレス・ポエトリーのシュトルム凸映画鑑賞記録用改めのレビュー・感想・評価

エンドレス・ポエトリー(2016年製作の映画)
3.8
ホドロフスキー初視聴。「ホーリーマウンテン」の人なのか。こっちも観ないとな…
監督自身と同名の主人公を、実の息子が演じるという自伝的な作品。チリに生まれ、芸術を蔑む商人の父との確執の中、詩人として生きようと志し、遂にはチリを旅立つまでの半生を描く。
詩人というのが、日本人にはなかなか分かりにくいのですが、詩人は職業ではなく、生き方なのですね。街のチンピラ相手にも詩人だ!と啖呵を切り、サーカスの聴衆にも詩人ですと自己紹介する(自己紹介それだけ!)。チリにおける詩人の地位の高さ、文化的豊かさに驚嘆する。
毒蛇みたいな化粧をした肥満女に恋をして初めての性の挑戦をしたり、詩人友達と意気投合して「詩人は曲がっちゃいかん、まっすぐ行くべし!」と町中の人家をまっすぐ突っ切ったりとか、詩人というよりバカな若者の青春の暴走とモラトリアムの消費ではあるんですが、自己表現を求めてあがく若さの格闘は痛いばかりに伝わってきます。
そして主人公ホドロフスキー青年が、父を超克して、父と祖国チリと青年期、全てに別れを告げるこのシーンの、父への行動が、何とも突飛で凄まじいイマジネーションです。これが88才の監督の作品なんですか?すごい。