こんなにもぶっとんだ「自伝」的映画なんて世界にそうそうないだろう。トッド・ブラウニングやらブニュエルやら、変態映画作家たちが残してきた遺産のドープすぎる解釈でもあり、さらにそれすらも超えてダグラス・サークの奇形的進化形ともいえる胸に沁みる原色ビカビカサイケデリック・メロドラマですらある。ついでにお母ちゃんのオペラがしっかりとミュージカルの刻印を残し、アステアのレコードまでがプレイされてしまうことの驚き。「フリークス」と「アンダルシアの犬」と「黄金時代」が「トップ・ハット」と邂逅してしまう奇跡がここにあり、人生の記憶と映画史の記憶をミックスさせて銀河に飛ばす。