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エンドレス・ポエトリーのslowのレビュー・感想・評価

エンドレス・ポエトリー(2016年製作の映画)
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完全に油断していた。ホドロフスキーと言えば、ビビッドで刺激的な人々と奇々怪界な世界。もちろん、それに変わりはないのだけれど、まさか感動まで押し寄せて来るとは思いもよらなかった。本作は前作『リアリティのダンス』から続くホドロフスキーの自伝的映画。これ人生を清算しようとする彼のエンディングノートのようにも感じられるし、同時に私たちへの熱い熱いメッセージでもあったように思う。

ホドロフスキーとデジタル撮影は相性が良いのではないかな。彼の色彩感覚はいつも印象的だけれど、これ程まで脳裏に焼き付いたことはなかったような気がする。その視覚的な感動からか、カルト映画というよりも極上のファンタジー映画のように感じられた。さらに、劇中で読まれる詩が与える力。アンゲロプロスの劇中詩も好きだったし、やっぱり想像を派生させていく表現は映画を何倍も面白くすると実感。
相変わらず過激なところもあるけれど、この繊細さは全くもって新鮮であり、ホドロフスキーでウルっとしたのは初めてだったかもしれない。最高の体験でした。
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