キルスティン

エンドレス・ポエトリーのキルスティンのレビュー・感想・評価

エンドレス・ポエトリー(2016年製作の映画)
4.6
「時計仕掛けのオレンジ」が小5の教科書なら、今作は対象年齢4歳~6歳の絵本。人生とは、人間とは、生きる意味とは、人間の本質、感性…感じる全てを学ぶとき、分かりやすさと刺激度合いからこんな例えが浮かんだ。なぜ「時計仕掛けのオレンジ」か。今作鑑賞中、「時計仕掛けのオレンジ」を観たときと同じ心境になった。根底に流れる何かが似てる。これは彩り豊かな明るくて上品な「時計仕掛けのオレンジ」だと思う。胸の肉をグイグイ抉られる感覚は同じ。
※基準が個人的過ぎますので参考にはなりませぬ

ホドロフスキー監督の映画は初見。
最初、これはごっつのコントか?笑うやつか?軽く観ていいやつか?と戸惑いつつ、高評価が目立つためその先が必ずあるはずと期待した。
途中、以下の邪念が私にふざけた
・こんな母親は嫌だ
・いとこのリカルドはラーメンズの片桐仁だ
・黒子の意味って
・アトリエという名の精神病棟
・一目瞭然の童貞チ◯コってどんなだ
・「天井桟敷の人々」出てきて嬉しい
・こんな大勢の前で裸になる映画初めて観た
・同じ匂いのする人に出会ったら魂勃起する感覚
・上島竜兵と出川哲朗のネタは世界共通ネタやったんや
私はこのままふざけるのか…自分を心配したが、ごっつのコント中にも関わらず、劇中繰り出される"詩"が素晴らしいのだ。素晴らしいとか…ほんま自分のボキャブラリーの無さに死にたい。
ネタバレとかにはならんので好きな詩を紹介したい。(本作はネタバレというネタもないんだが)
《毒女》
"鳥のように 木の内臓のように 奥に秘めた魂に 語り掛けなかったせいで 探求は罪となり 敗北に終わった"

《現在と未来のアレハンドロ》
"私は未来のお前だ お前は過去の私
詩に身を投じ 後悔はしていない 何を得る? 幸せに死ぬことを学ぶ 死ぬのが怖い 生きるのが怖いんだ 人を失望させるのが怖い 自分を生きるのは罪じゃない 他人の期待通りに生きる方が罪だ 人生の意味は 人生か 頭は質問するが 心は答えを知っている 意味などない 生きるだけだ 生きろ 生きるんだ 生きろ!"

《アレハンドロ》
"おい お前 何者なんだ 存在する目的はなんだ なぜ生きてる? 生きてはいなかった 死して生まれた 世界に死人が1人増えただけだ"

《アレハンドロ》
"父さん 何も与えないで すべてをくれた 愛さないことで 愛の必要性を教えてくれた"

《エンリケ・リン》
"逃げてるはずの死が 慌てず隣を走ってる"

詩ではないが印象に残ったセリフ
《エンリケ・リン》
「成長した鷹に巣はいらない」

上記の詩は詠われるその場面、状況込みでより味わい深い。
ホドロフスキー監督の脚本に散りばめられた数々の詩。
説得力半端ない。

謎のホネホネロック、ラストでようやくピンときた。
人間誰しも肉体は同じってことかな。作中ホネホネロックと真っ赤な小鬼みたいな出てくるのも、そのまんま骨と肉ってことかな。
余談、公式ホームページ見たらネタバレやけど、私は予備知識なしで観たので、あの人とあの人が同一人物、一人二役してることに驚いた!なんで頑張ってもっ回観てみよ💨
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