ひこくろ

アサイラム 監禁病棟と顔のない患者たちのひこくろのレビュー・感想・評価

4.6
あまりにも残酷で冷酷な冒頭のエピソードから一気に引き込まれた。
わりと序盤に真相は明かされ、接している人たちがじつはまともではないとわかるのだが、それが真実なのかどうなのかが曖昧なのがとても面白い。
この人たちは正気なのか、それとも狂人なのか。
わからないままに繰り広げられる会話ややり取りは、緊張感たっぷりで、嫌でもゾワゾワさせられる。
しばらくして、彼らが狂人だとわかってからも、ゾワゾワ感は止まらない。
患者を非人道的に扱う精神科医たちと、常識に外れた行動をする患者たち。
本当におかしいのはどちらなのか。
正気と狂気の基準はあっさりと覆り、ぐらぐらと揺れまくる。
正しいものとは何なのか。そう問うて来るような感覚はたまらなく心地いい。

「正気と狂気」というテーマに留まらない、物語の面白さにも最高に興奮した。
すべてを牛耳っているラム院長の過去が明かされる時。
主人公エドワードの動機が判明する時。
そして、そこからさらに畳みかけるように真実が明らかになる時。
思わず「うわーっ」と叫びたくなるぐらいの面白さがあった。
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