OASIS

ローラーコースターのOASISのレビュー・感想・評価

ローラーコースター(2013年製作の映画)
3.1
女性アイドルとのスキャンダルが発覚した人気韓流アイドルが、日本から韓国へと戻る機内で様々なトラブルに巻き込まれるという話。
韓国の有名俳優ハ・ジョンウが初監督を務めたコメディ。

ペドロ・アルモドバル監督の「アイム・ソー・エキサイテッド!」みたいな話だが、あちらが機外にまで枝葉を拡げて笑いの要素が散らばっていたのに対して、機内だけで展開し笑いの要素が多い分こちらの方がまだコメディとしては面白かった。

「マザーファッカーマン」という下衆なタイトルの映画が日本で異例の大ヒットを飛ばすといった始まりから、全体的に韓流アイドルやそれにまとわりつくファンに対してちょっと小馬鹿にした匂いが漂う。
またこのアイドルが人間性最悪で、「このクソアマ!」や「シバラマ!」ととにかく周りの物に手当たり次第に切れまくるのである。
顔も超絶良い訳でも無いし、性格の悪さが表情に浮き出過ぎているにも関わらず良くファンがいるなと思ったが、そういう部分もアイドルに対しての皮肉なのだろうか。

そんな彼に次々と厄介な出来事が起こり「ざまぁみろ」と思うのだが、いかんせん乗客の方もこちらをイラつかせるような人ばかりで主人公と同様にムカムカするし彼に同情までしそうになってくる。
「サインしろ」としつこいおばちゃんファン、一人で念仏を唱えまくるおっさん、偉そうなザーサイ屋の社長と秘書、いちゃつくカップル、サボり放題の添乗員や元カノなどなど...。
おまけに「ナッツリターン問題かよ!」と思うほど添乗員に向かって何かと注意する記者がいたり。
予言かよ...というほどの先見の明に驚いた。

機内だけならまだしも、台風の影響で飛行機が着陸出来るか出来ないかという問題が出てきてもう小さな事に構ってる場合では無くなり...。
主人公が時折妄想に逃げ込んだり、暴れ回って電気ショックを撃たれてションベンを漏らしたり、アイドルらしからぬ行動を取っているのを傍からケラケラと笑いながら見ているような第三者的感覚が面白かった。

ただ、飛行機の不時着トラブルまで50分くらいあって、その間は主人公対客の苛々するやりとりを聞かされるので段々と笑いが薄まって苛立ちだけが募って行く印象だった。
最終的に何も進歩しておらず全く懲りていない主人公をこれでもかと馬鹿馬鹿しく描くラストは結構好きだったりする。
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