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太陽のwakachangのレビュー・感想・評価

太陽(2016年製作の映画)
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見ていて苦しくなるような閉塞感。無力感。でも、それは目を背けず、ちゃんと見なきゃいけないものだと思いました。

ウィルスで、偶然に、そして残酷に、ふたつに分けられてしまった人類。

それは架空の設定だけれども、国境で、民族で、経済で、宗教で、戦争で、などなど、私たち人間は世界のあちこちで分けられている。『太陽』で描かれているみたいな世界は、いつか私が巻き込まれてしまうかもしれない、普遍性のある分断だ。私が、あそこにいたら、どうするだろうかと想像しながら見ました。

蜷川幸雄さん版の舞台『太陽2068』は拝見していたので、大筋は知っていましたが、それでもいったいどうなってしまうのかと、気を揉みました。

そして、監督の入江悠さんは、舞台では描けない、映像だからこそのリアリティを盛り込んでいた。だから、余計に苦しかったし。どちらの側に生まれても、欠けたものがあるのだなあと感じた。あと音のつけ方がすばらしかった。

役者さん、みなさん、隅々まですばらしかった。境界を超えて神木隆之介君と古川雄輝君に芽生える友情は、映画の中の救いだった。門脇麦ちゃんは圧倒的。彼女の父を演じるのが、古舘寛治さんで。このふたりが親子であることで、家族の物語としての色がグッと濃くなったと思う。他に綾田俊樹さん、水田航生君、高橋和也さん、森口瑤子さん、村上淳さん、中村優子さん、鶴見辰吾さんなど。

そして、いつか、鉄彦とモリシゲのその後が見てみたいと思いました。希望のある未来だったらいいな。
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