butasu

ヒトラー暗殺、13分の誤算のbutasuのレビュー・感想・評価

ヒトラー暗殺、13分の誤算(2015年製作の映画)
3.0
なかなか悪くない映画だった。ヒトラー暗殺計画を単独で実行した家具職人の青年を描いた物語。

冒頭に計画の実行と失敗をまず見せ、その後に取り調べと過去回想を同時進行で進めていく手法は悪くない。彼の人柄が際立つし、ナチスの性質も浮き彫りになる。ただ、回想シーンが結構冗長でもたついたのが勿体なかった。特に何かが起こるわけでもない、しかも人妻との不倫を、延々とただ見せられる過去回想は割と退屈。特に回想パートはテンポも悪く、早く取り調べに戻らないかなぁとばかり思っていた。

結局暗殺に失敗した上に8人もの犠牲者を出してしまった彼は、決して単純に正当化されるべきではない。最終的には体制側に寝返るような発言まで飛び出す、不倫野郎なのだ。しかし彼には国を思う強い気持ちがあり、誰かが何かをしなければ状況を決して変えることが出来ないという覚悟があった。その辺りのバランスを苦心してギリギリ保っていた印象。ナチスによる拷問や処刑も、決して大袈裟ではないリアリティがあった。この辺りはさすがドイツ映画といったところ。しかし暗殺未遂を起こしたのに即死刑ではなかったというのはかなり意外だった。結局その場の匙加減で決められていたのかな。
butasu

butasu