Kurita

黄金のアデーレ 名画の帰還のKuritaのレビュー・感想・評価

4.5
第二次大戦でナチスドイツに奪われたクリムトの名画を巡る物語。
実際にアメリカとオーストリアを跨いで行われた裁判を基にした話なので法廷劇になるのかと思っていたのですが、
事実を基にして、個人と時代との関わり方について深く掘り下げて描いていました。

映画の中で映し出されるいくつかの場面。
ユダヤ人上流階級のダンスシーンでの輪になって踊る風景や、螺旋階段、家族が肩を抱きながら輪になる場面が、
この作品に流れる"物事は流れて繰り返していく"って思想を繰り返し印象づけてきます。そこには悲劇もあるけど、少しの可笑しさもある。

まるで"アンダーグラウンド"のエンディングで国土を分割されながらも踊り狂う彼らのように、悲しくもコミカルに世の中に揺らされていくのです。

家庭を築いて落ち着こうと懸命に働いている彼も揺れるし、すでに80を過ぎた運命に翻弄され尽くしたような彼女も揺れる。
だからこそ、たまらなく愛おしくなってしまうのですよね。

なんだか心に残る印象的な音響を共同で手がけていたのが、あのハンスジマーとエンドロールで分かって納得でした。