ねーね

黄金のアデーレ 名画の帰還のねーねのレビュー・感想・評価

3.5
『オーストリアのモナリザ』とも呼ばれるクリムトの名画『黄金のアデーレ』
戦時下でナチに奪われた叔母の肖像画の返還を求め、ヘレンミレン演ずるマリアと若き弁護士が奔走する、実話を元にした物語。

単なる絵画の返還にまつわる 単調なサスペンス系の作品かと思っていたのだけれど、
実際は、ナチに家族も国もすべてを強奪された一人のユダヤ人女性の忘れられない過去、そして祖国を捨て逃げてしまった自分を許せない思い、葛藤を描いた重厚なヒューマンドラマだった。
ロスで生まれ育ちながらも、祖父母のルーツが同じようにオーストリアに根付く、若き弁護士ランディ(ライアン・レイノルズ)。
アメリカの若者にとってホロコーストの過去などただの歴史に過ぎず、はじめはお金のために協力していたが、、
ウィーンのホロコースト記念碑で祖父母の名前を見た瞬間の、あの表情に私も思わず涙!!
オーストリアへの、自分の家系への誇りに湧き上がる言い知れぬ感情が、彼の拳からひしひしと伝わってきた。彼ってなんて良い演技するんだろう。。

ホロコースト関連の作品はよく鑑賞するけど、今まであまりない視点から描いた内容で、予想以上に惹きこまれた。
彼女の幸せな過去の記憶と現在を絡めながら、同時進行してゆく飽きさせない構成。
ヘレン・ミレンの、過去を見つめる瞳の演技が素晴らしかった。

『ミケランジェロ・プロジェクト』をあわせて観ると面白そうとの意見をいくつか見たので、記憶の新しいうちに観てみたいと思います。