あい

黄金のアデーレ 名画の帰還のあいのレビュー・感想・評価

3.0

ナチス占領下のウィーンからアメリカへと亡命したマリア。
ナチスに奪われた、クリムトが描いた亡き叔母の肖像画を取り戻すため、オーストリア相手に奮闘する。

マリアにとってクリムトの絵画は、美しく幸せな幼少期、そして青春の象徴なのだ。
遠い日に自分が追われたウィーンで平然と飾られている絵画の向こうに、マリアは理不尽に奪われてしまった家族と、故郷と、青春を見ている。それがひしひしと伝わってきて苦しい。
きっと、マリアと共に戦うことを決意する弁護士のランディも同じ気持ちだったのだろう。


でもこういう映画って、どうしても出来事を追うのがメインになってしまうのかな...
回想シーンだけじゃなくて、老いてからのマリアに、葛藤や後悔の細やかな描写が見られたらよかったな。
台詞で何から何まで説明するのではなくて、ホロコーストという背景だけに、もう少し深みのある表現が見たかった。
あい

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